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- Re: ヴェルデュキア戦記 ( No.33 )
- 日時: 2011/03/20 13:42
- 名前: Ley ◆SAvQ/U.Sqg (ID: BL8fZ.Pl)
タシュミット国…タシュミット城にて。
「ふざけるのも大概にしろ大臣よ! タシュミット国の城下町が滅んでいるのに宴を開くだと? 頭がどうかしてるんじゃないか! この国は終わった!終わったのだ!『北の戦争国』とも言われ最強かつ無慈悲の兵士を作り上げてきたタシュミット国も終わりだ!終わりなのだ! 私は大臣達皆死に至ったのならば! 私は剣を携え、自決する! だから貴様等は早く戦え!城下町を襲う者々を皆殺しにしてしまえ!」
タシュミット国王 アルガー・ビンデンの怒号は散々なまでに王宮に響き渡った。
「王…お気を確かに。 もうタシュミット国が崩壊するからこそ、最後の宴を楽しみましょう!」
タシュミット国の大臣 イーニアス・ヨハン大臣はいたって冷静な表情で、荒れたアルガー国王の怒りを鎮めようとする。
「この阿呆め! どいつもこいつも阿呆ばかりだ! 私は部屋に篭る! 宴を開くなら勝手にしろ!」
アルガー国王の勝手ぶりは益々悪化して、城下町を救うなど頭に入っていないようだ。
何故タシュミット国が、この様な悲惨な状況になったのかを説明しよう。
骨の穴を抜け、智慧の森林を抜けると、吹雪が旅人達を歓迎する。
その吹雪を抜け、タシュミット国という小さな軍事国家が存在した。
知名度はそれほど低くなく、軍事国家として十分名を馳せていたのだ。
しかし、ネメシス率いるウロボロス教団の使途が、タシュミット国を襲撃し、住民は見るも無残に朽ち果てて行った……
そして王が起床する頃には、城下町は炎に包まれ、教団の黒騎士達に占領されていたのである…
「……皆、槍を持って戦いに行けぇ! 我は王を説得する!」
ヨハン大臣も王と同じ様に怒号を撒き散らせながら、王の部屋へと歩いていった…………
第五編 崩壊の末路
「こりゃひでぇな… 物という物が全て壊されてる。」
オスカーはまるで他人事の様に現状を語り始める。
宿に設けられていたベッドや棚は、原型を留めていない。
「一応寝泊りできるスペースはあるみたいだし、一晩泊まるか?」
ライはそう軽々しく言葉を吐いたが、疲労困憊で見も心も荒んだ2人はとりあえず了承した。
スペースを確保すると、人間とは思えない速さで三人は目を閉じ、夢の世界へと入り込んだ……
清清しい小鳥のさえずりがライを起床させる。
夜中見た炎も、今では既に消えており、これだけ見ると崩れた村に見える。
さてと、早くタシュミット国に行って、武器や食べ物を補給しなければ。
「…ふああ…… あれ…? 変な音がしない?」
フレンダの言葉を聞き、ライは耳を澄ませる。
オスカーがまだ寝ている中、気持ちの悪い虫の羽音が聞こえてきた。