ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: アンドロイド戦争 ( No.9 )
日時: 2011/07/20 18:31
名前: 凪 (ID: ObYAgmLo)

 1〝お買い求め有難うございます〟


 ***(ここのスレッドは違う場面となります)


青年は、息を切らしながら走っていた。

この長い廊下を走っていた。

いつ見ても、慣れないなあと青年は思った。長い廊下もそうなのだが、

壁全体がピンクやオレンジ、黄色の水玉模様で染まっている。壁以外に

は、床に敷いてある〝ピンクカーペット〟。おそらく社長の趣味なのだ

ろう。会社に入った当時、よく先輩が言っていたものだ。「俺は長く

此処に勤めているが、慣れたことはない」と。

(まぁ、そんなことよりも——)

  ◆

やっと、社長室が見えてきた。少しスピードを早め、ドアの前に立ち、

ノックをした。

「あいよ」

これが、いつもの返事だ。此処の社長は変わっている———。

「失礼します」

ドアを開け、閉めた。そして顔を上げると、いつもは見ない険しい顔を

した社長とデスクの上が散乱しているのが見えた。

青年がデスクの前に立ち、そして焦りながら言った。

「データが盗まれたというのは本当ですか」

それに対して、社長は髪をかき回しながら言った。いつになく苛立って

いるのがうかがえた。

「ああ、本当だ。朝来てパソコンをいじってファイルを開けたら、無か

ったんだよ……。いつも此処から入ってたから、間違えて別のファイル

を開けていたという訳ではなかった。確かに無くなっていた……。

なんなら大河内君も見るか?」

青年——大河内は「はい」と言い、社長の後ろに回った。

社長の言った事は本当だったようだ。全部のファイルを試しに開けて

みたが、〝あの〟データは無くなっていた。

「確かに…無くなっていますね。セキリュティロックをかけていたの

にも関わらず、解除されています」

「あぁ。ロックはかけていた。こんな事ができるのは一体誰だ?」

「心辺りは無いのですね」

大河内の問いに対し、社長は頷いた。

「パスワードは俺しか知らないからな……あのデータは悪く使えば

兵器にもなるからね……」




 NEXT…


大河内(おおこうち)ですよー。
読みが分からなかった人、すいません。