ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: オンガク戦争 ( No.14 )
日時: 2011/03/31 08:16
名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)

小形意外の4人は目を見合わせた。なんだ、コイツ。目が恐ろしいほどにいい、と。

得意そうにいわゆるドヤ顔をしてみせる小形は走ってゆき、道の上に立っている男性に話しかける。

身振り手振りを付けて話し、またこちらに走ってくる。
本当に賑やかな奴だ、と奏は思った。

「協奏者だった!家にお越しくださいだってよ!」

協奏者、とはサウンズ計画に協力しているサポーターのようなもので、
対サウ部隊に協力している一般人のことだ。

水をくれると説明した男はヘラヘラと笑って、道案内を始める。
右に曲がり、左に曲がり、また左にまがり…

不自然なほど遠くの森まで連れて行かれた。



「此処が僕の家です。ピアノを弾くので、都心部だと騒音とかなんとかでややこしいので…
変ですよね、こんなところに住むなんで」


軽く下を向き、微笑んでみせるとドアを開け、中に入るのを促した。


「いえ、素敵なお宅だと思います」

こちらも微笑む松岡。松岡は人当たりがいいので、任務中に出会う協奏者への対応は殆ど彼にまかせっきりだ。

「ありがとうございます」

男性は部屋の奥へと案内し、5人を座らせた。

「あの…お水、持ってきますね」

そういってかちゃかちゃとコップやらなんやらを取り出した。

チリーン、となんとも夏の風物詩なものが風にゆれ、涼しさを演出しようと頑張っているようだが、
それも無駄なようで、うだうだと暑い空気が流れ込んできている。

「お待たせしました」

一つ一つ、コトリと机にグラスを並べる。氷が入っているせいもあって、コップの表面には水滴が付いていた。

「水ーっ!」
「小形君…お行儀が悪いですよ…」

彼らの言葉に皆が噴き出す。これから戦いの前線にいくとは思えないほどの穏やかな雰囲気が漂う。

ただ小形の様子がおかしかった。