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Re: 始末屋『白松ちゃん』【オリキャラ募集】 ( No.12 )
日時: 2011/03/05 13:11
名前: るりぃ ◆.VGogta6H. (ID: opLc/10u)

第一話【暇つぶしCrazy】


部屋の中。黒髪短髪の男が回転椅子に座りながら足を机に乗せ、煙草を吸い、部屋の中に煙をくゆらせている。それ自体は特に珍しい光景でもないのだが、珍しいのは彼の瞳の色だ。日に照らされた雪原の様に白い色をしている。服装も髪と瞳の色に意図的に合わせていいるのか、白いコートに黒いスーツを着用し、黒い革靴に白靴下を履いている。締めているのは紅蓮のネクタイだ、単調な服装にアクセントを与えていてぱっと見ネクタイが印象に残ることであろう。
暫く彼は煙草を吸いながら呆けていたが、しばらくしてから何か思い至ったように煙草を灰皿に押し付けて火をけし、足をテーブルから下ろすと机と正面からキスする状態になった。そんな事をすれば彼の折角整った顔が残念なことになってしまうのは一目瞭然だった。
……だがその行為を止める人間は残念ながらこの場にだれもおらず、彼はそのまま寝入ってしまったらしい。
そこに、軽やかな呼び鈴の音がする。寝ている彼は当然気が付かない。
呼び鈴の主は痺れを切らしたのかドンドンと扉を叩く、それでも彼からの反応がないことを確認し、部屋の中にずかずかと上り込んできた。

「おーい。」

声をかけたのはまだ成人したばかりなのか顔に何処か幼さが残る女性であった。こげ茶のまざった黒髪を団子に纏めている。前髪は黒のピンで右側に留めていて、目は平凡なくすんだ黒色だ。身長は158センチ程度だろうか、平均である。その平凡な顔立ちの女性は普段着なのか使い込まれた様子のスウェットを着用していた。
女性の存在に気が付かないのかそれとも気付いていて無視をしているのかはわからないが彼は机に突っ伏したままくぐもった声で愚痴を吐く。

「昨日仕事を終えたばかりだからなぁ。睡眠不足で、もうくたくた。あぁだりぃ、だりぃ。」

女性はむっとした顔をしつつ彼に一歩近づいて、先ほどよりも大きな声で話しかける。

「おーい。」

「眠くって仕方がない。あーフカフカのベッドで寝てたかった。生憎俺の店は24時間365日営業だから、寝れやしない。誰か俺と変わってくんねーかな。あーだりぃ。」

だが彼はその声に被せる様に愚痴を吐く。女性の声は彼の声と混ざって消えた。
女性は額に青筋を立てながら声を荒げた。

「オイ!!」

そうすれば今まで机につっぷしていた彼の顔がだるそうにあげられ彼女を鬱陶しそうにみやり手で追い払う真似をしながらこれまただるそうに言葉を紡ぐ。

「うるせーな俺ぁおいって名前じゃねーんだよ。出直して来な、嬢ちゃん。」

「ちょっそれでも営業マン!? 私は嬢ちゃんじゃありません! もう21です!」

「あーあーうるせぇ。俺ぁ営業マンだけどなぁ、金も払えそうにない嬢ちゃんの願いなんか聞かねぇよ。」

怒りのあまりふるふると震える拳を彼女は必至で押さえつけ彼を睨みつける。だがそんなことなど気にもしていないのか彼はなんだコイツと言わんばかりの目で上から目線だ。

————始末屋。
通称、白松ちゃん。
金を払ってもらえればどんな物であろうと始末する。それがゴミであろうと高層ビルであろうと人であろうと。誰にもバレずに始末する。彼はそこで営業するオーナー兼従業員だ。というか白松ちゃんで働いているのは彼一人なのだが。彼曰くバイト募集中らしい。

「で? 一応聞いてやる。何の用だ嬢ちゃん。」

彼に鬱陶しそうに、だるそうに尋ねられて彼女ははっとしたような顔をすると、人当たりのよさそうな笑みを浮かべた。

「暇つぶしです。」

「帰れ。」

それはもう刹那という言葉では表しきれない程早かった。
そんな白松ちゃんの返答に対して彼女は口を尖らせながら悪態をつく。
そんな彼女の言葉を悉くスルーしながら彼はまた机に長い脚をみせつける様にのせ、両手を組んでそこに頭を乗せてから椅子の背もたれにもたれかかる。

「大体よぉ、お前何モンだ。」

「あ、はい私はですね、田中翼って言うんですよ! でもよくちゃんって言ってくださいね!」

翼のはじける笑顔。
白松ちゃんは眩しそうに目を細めるとため息をついた。そして、ゴキゴキと首を鳴らしながら口を開く。

「名前。田中 翼。本人は『よく』って呼んでもらいたいらしく、それを周囲に強要している。年齢は21。性別は女。容姿はこげ茶のまざった黒髪。普段は団子に纏めている。前髪は黒のピンで右側に留めている。目は普通に黒。身長は158センチ、体重は42キロ。服装はほぼ黒のスウェット。特別な時はそれなりの格好をする。性格はアニメ好き。観察する事に長けている。サディスト。戦歴二年。誰かに拾われてそれ以来その人を尊敬しているっ。武器はカッター二本。あまり強くはないが戦う時は戦う。戦闘方法はカッターを喉に突きつける。キレたらカッターを二本出してめっためた! ひゅぅ、怖いねェ。」

白松ちゃんの口からあふれ出た己の個人情報に翼は呆然とした後、白松ちゃんに指を突き付けながら、叫ぶように抗議の声をあげる。

「プ、プライイバシーの侵害です!」

白松ちゃんはそんな翼の様子を楽しそうにみやり口元を笑みの形にゆがめながら喉奥からクツクツと笑い声をあげた。

「プライバシーなんつー言葉はこの俺の前では塵と化すのさ。」