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Re: 始末屋『白松ちゃん』【オリキャラ募集一時停止】 ( No.21 )
日時: 2011/04/28 07:00
名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: CbXJUujt)
参照: るりぃ改め華京!心 機 一 転 !

第二話 【裏表クレイモア】

部屋の中。黒髪短髪の男が回転椅子に座りながら足を机に乗せ、煙草を吸い、部屋の中に煙をくゆらせている。
この男こそ我らが嫌われ者の外道主人公白松ちゃんである。
白松ちゃんは暫くそうしていたが、突然何かを思い立ったように足を机から下ろして珍しく椅子にきちんと座った。
ただ、足は組んでいたが。
そして、その数秒後。
コンコン、という控えめなノックの音が部屋の中に響いた。

「入んな。」

白松ちゃんは一言扉に向かって声をかける。
そこから現れたのは黒色をした長い髪を緑のさくらんぼの飾りのついたヘアバンドで纏め、緑色の瞳を持つ少女がいた。
白松ちゃんはそれを見て驚いたように一瞬眼を見開くも、すぐに顔をいつもの仏頂面に戻した。

「まさかこんな嬢ちゃんだったとはなぁ。」

「嬢ちゃんなんて失礼な。私はもう17です。」

白松ちゃんの言葉に彼女はムッとしたように反論した。
そんな彼女に白松ちゃんは喉奥で笑いながら

「俺から見ればどんなに年食ったジジイも子供だ。」

といった。
お前は一体何歳なんだという好奇心と恐怖が混じった視線が彼女から白松ちゃんに注がれる。
白松ちゃんはそれを無視すると、煙草をピッと彼女に向けた。

「アンタの名前を教えろ。後、中にいるやつの名前もな。」

彼女は白松ちゃんの言葉に大げさに肩を震わせた。
彼女は乾いた唇を舐めてから、ゆっくりと口を開く。

「私は、李轄重 優裡。中にいるのは、重躁 璽御。」

「……で、アンタの依頼はその璽御とやらを消す事かい?」

白松ちゃんの言葉に、優裡はゆっくりとうなずいた。

「戦闘強化されて出来たこの、二年前から悩まされている私のもう一人の人格【重躁 璽御】を、消してください。」

優裡の言葉に白松ちゃんはにやりと唇をゆがめた。

「……依頼金は?」

「このとおり。」

優裡は銀色のアタッシュケースを出す。
白松ちゃんはそれを受け取ると中身を確認し、それを閉じて己の足元にほうった。

「よし、アンタの依頼。受けようじゃねぇか。」

白松ちゃんが笑みながら言ったせりふに優裡は明らかに安心した顔をした。
喜んでいる優裡を見て、白松ちゃんは誰に言うわけでもなく呟いた。

「俺も楽しめそうだし、な?」

煙草の煙と共に吐き出されたセリフの意味を知るものはまだいない。