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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 綺麗に濁った雪 (…私の心と、良く似ていて。) ( No.12 )
- 日時: 2011/03/07 21:26
- 名前: くろ ◆1sC7CjNPu2 (ID: OK6L9khJ)
- 参照: リク依頼の所では「ひふみ。」です。紛らわしくてすみません。
唐突に、指先がとても冷たいと思った。顔の前に手を持って来てじっと見つめてみると、ほんのりと指先が赤く色付いている。ちょっと遅れた紅葉みたいだと一人で笑ってみたり。息をはあーっと吹きかけると、じんわりとした温かさの次にぴりぴりした痺れが来た。いってぇと呟く。
首に巻いたマフラーを口の上まで持って来て口をすっぽり覆う。吐く息でじんわりとマフラーが湿っているのが分かった。
……あれ、わたし、何で手がこんなに冷たいんだろうか。記憶をたぐっても、どんな豪雪の日でも霜焼けとかになった覚えは無い。カイロでも持ってたんだろうか。それとも、ずっとポケットに手を入れていたとか? 無いな。
それとも、手が冷たい人は心が温かいからだろうか。ああ、きっとそれだ。
ちょっとだけ笑ってマフラーをまた上げた。無理矢理な冗談でごまかしたのは、きっとわたしが真実に気付いてしまったから。
さくさくと踏みしめる雪は人の足跡で濁っていて、とても悲しそうだった。
( 指先が冷たいのは )( 手を握ってくれる貴方が居ないから )
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