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Re: 僕と柚子姫と時間の壁と、 ( No.1 )
日時: 2011/03/07 18:24
名前: 風之介 ◆8ATHtsZhFQ (ID: 87ywO7pe)


   プロローグ


僕、佐光海斗はたった今、人生の谷底に突き落とされた。
そう、憧れの浅賀柚子に告白したところをふられてしまったのだ。
友達に無理矢理告白させられて振られるのなんて、一番格好悪い。
そんな友達のところにいく気分にもなれないし、かといって今の自分じゃ何も出来そうに無い。
人に会わないため(会いたくないため)に僕は屋上の隅っこに座った。
フェンスに身を乗り出していっその事死んでみよう、とも思う。
これ位の事で死のうなんて、本当に僕は小さい男だ。
本当に死のうとでも思ったのか、小さい男は自分と同じ位の背丈のフェンスを後越える。
運動神経だけは良い小さい男はフェンスを乗り越えて、あと一歩踏み込んだら下へ真っ逆さま、という所まで踏み出した。
やっぱり一歩踏み出しただけで、いつもとは違う風景が見えた。
やっぱり、死ぬのにははやい、そう思い、小さい男はいつもの場所に戻ろうと振り向いた。
「!?」
黒くて大きい影。
人?
顔は歯っきりみえながったが、人間だろう。
だってそいつは海斗を落とす瞬間に
「あばよ」
と薄笑いを浮かべたのだから。
僕の人生は此処で終わってしまうのか。
小さい男は空中にふわりと舞った。
そして、自分自身に最後の挨拶を交わした。

さよなら、僕の15年———・・・。