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Re: 僕と柚子姫と時間の壁と、 ( No.2 )
日時: 2011/03/08 14:57
名前: 風之介 ◆8ATHtsZhFQ (ID: 87ywO7pe)

   第一章

   「怖い怖い」
  1:1

海斗は宙でふわりと舞う。
遠く見えた地面が段々と近づいてくる。
地面が段々と近づく。胸に少しの恐怖感を抱いた。
「死んでもいいのかな?死んだ方がいいのかな?」と曖昧な問いを自分に繰り返す。
問いを繰り返しているうちに「進路も決まってない人間が一人死んだってどうって事ないか。」と、悲しい答えを出した。
ふと、あの人物の事が気になって上を見上げた。
やはり顔は見えなかったが、にやっと笑う白い歯が出ていた。
その口は「死んだ死んだ」とでも言うように上につり上がっていて、とんだ悪人だな、と海斗は思った。
もうこれ以上の不幸は起こらないだろう。
どうせ僕は死ぬんだから。
ああ、さよなら、人間界。
一足先に逝かせてもらいます。

と、突然目の前の風景が歪んで止まった。そして僕も。
葉がさやさやと揺れる音も聞こえなければ風が体に当たる心地よい感触もない。
代わりに「ぐわんぐわん」と気持ちが悪くなる音が聞こえた。
既に神経はボロボロの雑巾のようになっているというのに。
僕だけ一人取り残されたような気がした。
寂しさ、孤独さ。
例えようがないこの感情。
僕が孤独さに浸ろうとしたその時。

ゴォォォォォォォン!!

爆音?雷音?
馬鹿でかい音がしてから止まったままだった風景が動き始めた。
が、そこに学校はない。



気が付くと僕はちくちくする藁の上に倒れていた。
あれ?こんなに早く天国に来てしまったのか?
まだ地面に落ち切っていないのに僕は死んでしまったのか?
つくづく弱い男だ。
本当に。
そして、地味なところだ。
本当に。