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Re: 僕と柚子姫と時間の壁と、 ( No.5 )
日時: 2011/03/09 17:57
名前: 風之介 ◆8ATHtsZhFQ (ID: 87ywO7pe)

  1:3


「柚子、あの、来世って・・・」
「お前は2012年から戦国時代・・・1575年にタイムスリップしてしまったのじゃ!」
「タイムスリップ」と言う現実的な言葉が妙に安心できた。
でも何故?
何故タイムスリップ?
いつ?何所で?
一つ思い当たる節があった。
あの空間が歪んだとき・・・。
「おぬしにいい事を教えてやろう?空間には3つの時代が存在するんじゃ。一つは進んだ未来。中間は今。そして一番端は過去。いつも隣合せになっておる。そして今が進むたびに過去は増えていくんじゃ」
僕にはよく分からない話を魯翔はする。
「それらの時代に行けるのはある特定の人間だけじゃ。その切符をお前は持っていたのじゃ。」
頭がこんがらがってきた。
切符なんて持ってないぞ?
「切符は脳の外部にコピーされている。私と魯翔もその一人じゃ。この事が外部の人間に洩れてみろ。暗殺でもされてしまうわい」
柚子はまたわけの分からない話をし始めた。
「んじゃ、訊くぞ?戦時中、切符を持った人間は未来へ・・・戦争から抜け出す事が出来るのか?」
「もちろんじゃ。それが切符のいいところであって悪いところでもある。」
話の内容をまぁまぁ理解した僕だが、自分は不幸なのか、幸せなのか。
そして——・・・。
「言っとくが沢山の時代があっても空間にいる同じ人間は一人だけだ。だから未来・・・2012年にお前はいない。いるのは過去の1575年だ。」
同じ時間で進んでいく?
そしたら2012年に僕はいない・・・。
周りの人間はどうするんだ?
僕を探し回るんじゃ?しまいには「誘拐・行方不明」なんて事にもなりかねない。
「安心しろ。この切符は上等でな。数をちゃんと認識しておって、人が消えても大丈夫なようにその人物に関する記憶だけ一時セーブされ無くなる。」
柚子は自分の頭を人差し指で突く。
それにしたって・・・。
早く此処から戻らないと本当の僕が消えてなくなってしまいそうで怖い。
「お前、此処から戻るなんて正気か?すべての体力を使い切って死ぬぞ。時代を出入りするには相当な体力を使う。今のお前じゃ無理だ。まぁ出来る奴は体力を使わんでも出入りできるのじゃが。」
それにしたって、僕は2012年の人間で、今を生きぬく人間で。
早くしないと本当の僕は消えて宇宙の遠くに飛んでいってしまうんじゃないか。
そう思うと怖くて怖くてしょうがなかった。


「怖い怖い」終わり。