ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re:       ワタシとアナタ。 ( No.3 )
日時: 2011/03/09 10:39
名前: 葵 ◆ufwYWRNgSQ (ID: GSWgO850)

…授業とは退屈な物で,いつも私は寝てしまう。
駄目だ,と自分に言い聞かせれば言い聞かせる程,余計に眠くなる。
先程も先生に本の角で頭を叩かれたが,既に眠い。
睡魔が襲って来る,とはよく言った物だ。

あふ,と欠伸をしてしまう。
先生にきつく睨まれたが,そんな事は知った事では無い。
机に突っ伏して,私は完全に寝る体勢に入る。
うとうとし始めた時,視界がいきなり変化した。

教室の上から,皆を見渡している感覚…つまりは“幽体離脱”という物だ。
幼い頃から私は妙な物が“視えて”いた。
世間一般で“幽霊”と称される物や,“未確認飛行物体”だとか。
私からしたら,其れが見えるのが当たり前で,見えない人が異質だと思っていた。
しかし…実際は逆で,見える私が変なのだと,結構前に気付いた。


———皆,居眠りしてる。


視界に入る何人かが,居眠りをしている。
体がふよふよと浮く感覚も,今となっては慣れてしまった。

……妙な予感がする。
今朝愛美が言っていた,“心臓狩り”の話。
あれは恐らく,“特殊な者共”の仕業なのだが,私には除霊の類は出来ない。
だから,諦めよう。
いつか誰かが異変に気付き,除霊してくれるに違いない。
私は…関係無い。
妙な事に巻き込まれるなんて,もう懲り懲りだ。


「…雛菊,起きなよ…」


愛美の声がした。
愛美は私の肩を揺すり,私を起こそうとする。

———もう戻ろう。

私は力一杯自分の体に向かってダイブして,何とか起きる事が出来た。
愛美が少しだけ苦笑いしていたが,お構い無しにノートを写し出す。
瞬間。
生温い風が,私の背を撫でた。
思わず鳥肌が立ち,辺りを見回すが,いない。







「後ろの正面だ〜ぁれ?」


後ろに“何か”がいるのを感じた。
そいつは私の直ぐ後ろにいるらしく,耳元に吐息がかかる。
声からして少女の様だが…。
まさか,“心臓狩り”の犯人なのだろうか?


「貴女に,忠告しに来たの」


静かに,少しだけ怒気を含んだ声で,少女は言う。
顔は見えないし,姿も見えないが,怒っている表情が安易に想像出来る。

だが,何故私に忠告をするのだろう?
私は…一切関わるつもりは無いのに。
面倒事は他人に任せる主義だから,私は知らない。


「例え_____でも,貴女は私に楯突かないで」

「え? 今,何て…」


私が振り向いた先には,誰もいなかった。

…例えの先は,何?
蚊の鳴く様なか細い声だった為,聞き取れ無かった。
兎に角,此の事件に幽霊が関わっている事が断言出来た。
………まぁ私には関係無いのだけれど。


___後ろの正面だ〜ぁれ?___


聞いた事のあるフレーズだけど……。
…当たり前か。
幼い頃にはあれを歌ったりして,私達も遊んでいたのだから。
懐かしいと感じたのも,当たり前だ。







___かごめかごめ
籠の中の鳥は,いついつ出やる
夜明けの晩に鶴と亀が滑った
後ろの正面だ〜ぁれ?___