ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 無 意 識 メ ラ ン コ リ ー ( No.2 )
日時: 2011/03/07 22:58
名前: N2 (ID: QT5fUcT9)

…→1.白の意識



「…びょう、いん」

言葉に出して確かめた。
私の言葉は力無く、狭い部屋の白い天井に吸い込まれていった。

どうやら私は病院にいるらしい。
通りで薬の臭いがすると思った。
腕や首には点滴の為のチューブやら線が伸びており、起き上がれない。


—あれ


ここでふと思う。


—何で病院なんかにいるんだろう


思い出せないのだ。何故、自分が病院にいるのか。
何故、ベットで寝ているのか。何故、点滴を打ってるのか。

おもむろに手を動かそうとしたその瞬間、

「—!!」

腕に冷たい電流が流れるような痛みが走り抜けた。
…どうやら腕を骨折しているようだ。初めて感じた痛みに額に脂汗が浮かぶ。


—私は交通事故にでも遭ったのだろうか


呼吸を整えて再び白い天井を仰ぐ。
何を考えても、思っても、思い出せない。
私に一体何が起きたのか。
思い出そうとすればする程、頭に天井のように白い霧がかかる。


—…名前すら、分かんないや


本当に、何もかも分からない。
きっと頭を強く打ったのだろう、一時的に忘れてるだけ、と
頭の中の灰色な不安を掻き消す。



リズムよい電子音が聴こえる。
私の鼓動が。





その時、病室の扉をコンコン、と叩く音がした。