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‐プロローグ‐

テレビからは、今日も“あの事件”を告げるニュースキャスターの声が聞こえる。私はそれを聞き流しながら、急いで身支度を整え、職場へ向かう。

私は警察官だ。一家そろって警察官の家だったので、それも当然と言えよう。
通勤ラッシュでごったがえす電車に揺られて20分ほどで、私の職場である西川市警前察署の駅へ着く。

私が担当する事件は、現在多発している群発自殺事件ともう一つ、同時多発失踪・死体遺棄事件だ。
両事件ともこの西川市で最初の事件が起こったため、警視庁とこの署とで対策本部がある。

群発自殺事件は、ほぼ全ての者が高所からの飛び降り自殺である。自殺者の接点は一切なく、彼等が自殺するような事など全く無い為、操作はかなり難航しているのだ。

もう一つの同時多発失踪・死体遺棄事件は……こちらも接点が全くないうえ、失踪する理由さえ無い。遺体に目立った外傷もなく、解剖医によれば水死等がほとんどだという。


今日も、対策本部での会議が始まる。