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Re: 天色の蝴蝶  ( No.10 )
日時: 2011/03/26 22:25
名前: 出がけのコーヒー (ID: BZFXj35Y)

【4】


「先生と……戦うんですか?」
「俺じゃない。あそこにいる彼と戦ってもらう。」


祇堂が指さした方向に、パーカーとジーンズというラフな格好をした男性が立っていた。
特に目立った特徴がなく、無表情で蝶也を見ている。
「制限時間はない。天明館高校の敷地がフィールドだ。では、やれ。」



「先手必勝だ。」



蝶也は背中からクリア色の蝶の翅を出し、足に力を込めて地を蹴った。
その瞬間、蝶也はその場から煙の様に消え、男性の後ろに拳を構えた状態で現れた。




「さすが高速度。でも、俺に物理攻撃は効かないぜよ。」




蝶也の拳が男性に当たった瞬間だった。






            フシュウゥウゥゥゥゥゥ






男性の体が白い煙に変わり、蝶也の拳は煙を通り抜けた。
「自己紹介しようぜよ。俺の名前は桐野怜助、能力は幽霊(レイス)。」



煙と化した怜助は元に戻り、蝶也のわき腹に強烈な蹴りを入れた。



蝶也は自身のハイスピードで避けようとしたが、なぜか能力の効果がすぐに発動しなかった。
蝶也は1メートルほど吹き飛び、地面に叩きつけられたが、軽快な身のこなしで体勢を戻す。



「あぁ、言うの忘れてたけど、俺の煙を吸ったら能力が発動しにくくなるぜよ。」


「くそっ……ふざけやがって…………」



怜助は不気味に微笑むと、両手だけを煙に変えて、蝶也めがけて煙が伸びる。
「なっ!?ありかよ!?」
煙の先端は元の手に戻り、蝶也の首根っこを掴もうとした。

が、蝶也はしゃがんで避けると、そのまま怜助の目の前まで高速移動した。

「今の状況で攻撃する術はない………喰らえ!!!」



     フシュウゥゥゥゥゥゥウゥ



蝶也は怜助の腹部にパンチをしたが、怜助は即座に体を煙に変える。
パンチは煙を通り抜け、再び蝶也の攻撃は無駄になった。
「無敵じゃんか………どうすれば………………」


相手は煙に化けることができる能力者。


煙に物理攻撃は効かない。空気に向かってパンチしてるようなものだ。


「なにか………方法は……………」


蝶也は辺りを見渡し、とある建物が視界に入った。
それは、校舎の横に建っている食堂────の横にある四角い建物だった。
窓はなく、大きなシャッターだけが外部と内部を繋いでいる。



     「……倒せる……方法はある!!!」



蝶也は食堂の横にある建物に向かって走り出す。
怜助は蝶也が逃げて行くと思い、勝利の笑みを浮かべて体を煙に変えた。




「やれやれ……餓鬼は結局怖くて逃げるか…………」




        「おい、甘く見ない方がいい。」




2人の戦いを見ていた祇堂が、怜助に向かって言った。
「今更、生徒に同情でもするか?あんたは、黙って見ときゃいいぜよ。」

怜助はそう言うと、煙の状態で蝶也を追いかけて行った。




 「負けたな………桐野…………」





祇堂は怜助の後ろ姿を見つめながら、半分呆れ顔で鼻で笑った。