ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: if[接] ( No.2 )
日時: 2011/03/18 11:07
名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: QiHeJRe.)

プロローグ —僕と金糸の遠い記憶

それは多分、遠い、遠い昔の記憶。

「ゼス…貴方だけは、絶対に生きるのよ」

聞いたことのない名前。
だが、俺は俺のことを“ゼス”と呼ぶこの声を知っている。
懐かしくて、愛しい声。
俺を抱きしめるこの腕も、金糸のような長い髪も、
全て、知っている。
知っているのに、抱きしめる彼女の名前だけは知らない。
いや、覚えていない……の方が正しいか。

「貴方の力は、何時か全てを飲み込む強大なものになってしまう。私も彼も皆それを望まない。だから」

力?
力って何だよ。

「私が貴方の力を封印する。貴方が何度生を受けても、決して解けない封印を」

俺の目を一直線に見つめ、彼女は強い口調でそう言う。
俺は彼女を知っている。
でも、
それ以外は何も知らない。

これは夢なのか?
夢じゃないのか?

「でも、貴方に守りたいものが出来た時は、こう唱えなさい」


「———……」


最後の言葉は壁か何かに阻まれたようにくぐもって
俺の耳まで届かなかった。
聞き返そうと口を開くも、
喉から声が出ることはなく。

次の瞬間には全てが闇に包まれ


「もしも、あの日に戻れるなら……」


さっきまで声の出なかった俺の喉から
そんな言葉が零れ落ちた。
俺の声なのに、
俺の声じゃない。
俺の意思に反した言葉。




if[接]   もし……ならば——




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朔(モト)様
コメありがとですww
モト様の神文、最高ですよ!! また見に行きますねw
その文才を分けて欲しいくらいです(笑