ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: —  ア  リ  ス  — ( No.12 )
日時: 2011/03/20 13:55
名前: 憬ネ (ID: 3ZeOyjRh)

+6+



出るためにはあのドアを開けないといけない。
そういえばガラスのテーブルの上にカギが置いてあったはずだ。

私はテーブルの足に捕まった。

(ドレスが重い…。)

なんで急にこんなに大きくなってしまったの??

もしかして…

私の体が小さくなってる!?
ありえない…ううん。これは夢だ。よくあること。

私があの夢に影響され始めたのは5歳の頃———…
でもこんなリアルな夢は初めてだ。

テーブルの足はつるつるしてて太くて、しっかりつかむこともできない。

「体が大きくなったらいいのに。」

なにげなく口にしてみたがどうにかなる物じゃない。

困って周りを見回すと、床に前からここにあったのかもわからない、小さな白い箱が置いてあった。

ドレスを引きずりながら箱のある方まで行った。

箱は今の私と同じサイズで、ちょっと親近感がわいた。
ふたを開けると、そこには四角いケーキがあった。
ケーキの表面にとピンクの砂糖衣で『私を食べなさい。』と書いてある。

食べてみようと思い、手ですくうようにケーキを取った。

「お母様がいたら地下牢に閉じ込められていたかも」

口に運ぶと、ほのかなブルーベリーの味がした。

「おいしい。」

え??これでおわり??と思う間もなく、私の体はぐんぐんと大きくなっていった。
天井に頭をぶつけ、ぶかぶかだったドレスが今にも張り裂けそうになった時、やっと成長が止まった。



「……どうなっているの!?おかしい!!」

私は絶叫した。
小さくなったり大きくなったり、まるで魔法みたいだ。
夢なら何でもありってわけじゃない。
ドレスで体が締め付けられている感覚も、ケーキの味も食感もしたんだから、こんなの夢でもなんでもない。

「でも鍵が取れる。」

鍵はひんやりしている。夢なのに…

「これでドアが開けられるし、ここから出られるわ!!」

私はしゃがもうと体をかがませた。
でもひざとお尻が両方の壁に当たって鍵穴にしゃがむこともできない。
しかもこのでかい体じゃ小さいドアも通れない。

「困ったなあ。こんどは体が小さければいいのに。」

テーブルから何かが落ちた。
それは床に落ちると、私の目線の下まで転がってきた。

「なにこれ??」

小さな瓶で『私を飲んで』と書いてある。

飲んでみよう…
私は素早くふたをまわし、それを口に運んだ。

「うえっ!!」

私は瓶を手から落としてしまった。
中から出た薄紫色の液が床に垂れてる。

「こんどは何!?」

見る見るうちに体が小さくなり、さっきと同じ小ささになった。

「鍵!!」

さっきよりもぶかぶかになったドレスから身を乗り出し、近くにあった鍵をつかんだ。

「これで外に出られる!!」

そう言いながら私は鍵穴にカギを差し込んだ。


             —end—