ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: — ア リ ス — ( No.13 )
- 日時: 2011/03/20 15:02
- 名前: 憬ネ (ID: 3ZeOyjRh)
「アリス ホンモノノ アリス。」
「ヤット ミツケタ。」
「ミンナニ ホウコク…」
ドアを開けた瞬間、私を待ち受けていたのはからっぽの荒野だった。
+7+
もう…この夢から出る事はできないの??
枯れた木々。雲がかかって黒い空。光る稲妻。
すべてが希望をなくしたような物ばかりであった。
「誰かいないの…??」
嬉しいことなんかなにもない家だったけど今は本気で帰りたいと思った。
涙がでてきてしまった。もう嫌。
「まぁ!!アリスよ!!本物のアリス!!」
え??アリスって私の事??
声がした方を向くと、淀んだ色をした花達が私を見て喋っている。
「「あなた本物のアリスでしょ??」」
またアリス…
「「戻ってきた!!あのアリスが!!」」
「…言っとくけど、あなたたちが言うアリスは私じゃないよ…」
「嘘だ。君はアリスだ。」
花達の声とは少し低い声が聞こえた。
「「チェシャ猫さん。こんにちわ〜」」
チェシャ猫と言う猫はニヤッと笑い、優雅に空中へ浮いている。
「10年前、君が此処に来た時もここの広場で泣いていた。」
猫!!あの夢に出てきたのと同じ。
紫の縞模様で、緑色の眼、不気味に笑う口。
「10年前って、私は前にも此処に来た事があるの??」
「忘れてしまったのかい??まぁいい。思い出すさ。いつか。」
また笑ったと思うと煙のように消えてしまった。
「消えた!!」
「「アリス。救世主!!」」
「救世主??私が??」
「「自由になる!!フラブジャスの日!!」」
「え??フラブジャスの日??なによそれ。」
「「アリスが戦う、アリスが勝つ、自由になれる!!」」
「「アリスが負けたら………」」
「…??」
今まで話していた花達は顔を見合わせた。
「まけたらどうなるの??」
その質問には答えずに、花達は蕾のようにしぼんでしまった。
—end—