ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ニゲラ ( No.10 )
日時: 2011/04/02 22:53
名前: 葵宇宙 (ID: ezn6wPAf)


「帰るか……。」


そう言って、公園に背を向けた瞬間だった。



「悠希っ!!」



と秀は叫んで倒れた。


誰かがいる。手には刃物を持っている。

その刃物には、赤い液体がべっとりついている。


すぐに秀のものだと分かった。

秀は悠希をかばって刺されたとも分かった。

悠希は動けなかった。

秀を刺した犯人はじりじりと悠希に近づいてくる。



——逃げなきゃ。



そんなの誰でも分かる。

でも、悠希にはもうひとつ。



——私が逃げたら秀はどうなるの。



今逃げなければ、自分も殺されてしまう。

でも、自分をかばって刺された秀はどうなるのか。

悠希の頭はフル回転していたが、答えはまったくでない。

そのときだった。




「…………げ……ろ!!」



かすかな声が聞こえる。

その声の主は秀であった。



「……き……げろっ!!」



首を振る悠希。

秀を見捨てることなんてできなかった。



「悠希、逃げろっ!!」