「大丈夫、秀は分かってくれてる。優しい人でしょ?」「……そうだな。」そんな話をしているうちに、お墓に到着した。お墓に向かっている途中に買った花をしっかり抱える。いろいろな人のお墓の間を通り、たどり着く。『壱波家』そう書かれた石の前に立つ。ここに来ると、秀がこの世にいないことを実感する。それは5年前から変わらない。枯れた花を捨て、新しい花と取り替える。そして、奏真が用意していた線香に火をつけ、線香をあげた。ふたりで手を合わせる。