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「魁人！ここはなんだ！何が起きている？説明しろ！」
情けないが、恐怖あまりに車内で思い切り絶句してしまった。
魁人が俺の感情の変化があまりにも大きすぎるのを悪く思ったのか、魁人は後部座席に向き直り、俺に微笑みかけた。
「大丈夫です。颯さま。もうそろそろ到着いたします。」
魁人は声をかけてきたが、周りの木々が折れる音があまりにも鳴り響いていて、細かいところまで聞き取るのは容易ではなかった。
こんなことを考えているときにも、いまだに俺の乗っている漆黒の高級車は尚もびきばきと騒音を鳴らし、猛スピードで森の道を駆け巡る。
窓から見えるのは後部のほうには無残に踏み潰された植物達。前方からは森の変化に驚く鳥たちの飛んでいく姿。きわめて静かなものではなかった。
いつまで続く…？

第一章　第一節　駒（コマ）　　完