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Re: 最強最弱 ( No.3 )
日時: 2011/03/30 20:26
名前: 王水 ◆7dc6rjLZUg (ID: 8keOW9sU)
参照: 元蒼天の彗星です。






そして俺はまず脳が張り裂けそうなぐらい浮かんだ質問を少しずつぶつけていく。


「……えっと、お前は何もんだ、何でそんなに強い、どっから来た、目的は—————」
「一気に質問攻めするなーっ!名前なら自分から名乗りなさいよ」

すっごい気が強い少女だな、と思いながら自己紹介をする。

「俺は大守強哉」
「あたしは蝶番真奈。以後よろしくね」

一応軽く名前の自己紹介をして次の質問へ移ろうとする。
すると真奈という奴が俺に向かって逆質問をいきなりしてくる。

「多分次は何でこんなに強いのかって聞くんでしょ?じゃあ逆になんであんたは弱いの」


そのあまりにも唐突な質問の内容に腹が立った。
何故人の一番気にしているところを突いていくのだろうか。
それも多分俺の中で最強に等しい人物が。
さらにあの口調はまるで当たり前のようだった。
その事など全部俺はひっくるめて怒りという感情を感じた。
そして俺は我を忘れてあいつの胸倉を掴む。


「仕方ねえだろ!?最弱は最弱なんだよ!!テメエにはわからねえよ」
「……ていうかこのド変態が!神聖な女子の服に気安くさわんじゃないわよ!!」
「あ、めんご。あまりにもつるぺったんだからさ、女って事忘れて…、痛い痛いぃぃ!ギブ、ギブ!」

何だかシリアスで域を張り詰めるようなムードからいきなり状況が一変した。
俺の過ちにあいつは腕で首をきつく締める絞めるという罰を与えた、あばら骨に当たって痛い…、ていうか事実何だけどな。
あいつはやっと腕を緩めて話の続きを始めた。

しかし第一声はありえない一言だった。

「あんた、強いんじゃない。あの迫力が凄かったけど」
「は?俺はお世辞いらないから。じゃあもうそろそろ————」
「ちょっと待った!あんたさ、ここの事詳しい?」

何かあいつはいきなり改まって質問を投げかけてくる。
一応俺はその質問に関して軽くこう答える。


「当たり前だろ、地元のことを知らないわけがねえ」
「じゃあちょっと、いい不動産屋教えてっ!昨日来たばっかりだから…」
「それならあそこの通りにいいとこがあったような…」
「ありがとっ!一応お礼は言っておくからっ!!」

そしてあいつは手を振って裏路地を駆け抜けて表の道に出て行ってしまった。
………あ、最強の秘訣を聞くの忘れた。まあいいか。
そのまま疑問を放り捨てて俺はまた表の道へと歩いていった。