ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕と戸口さんともうひとつ ( No.1 )
日時: 2011/03/31 15:04
名前: 揶揄菟唖 (ID: AirZuNBn)

僕と戸口さんと嘲弄の音


「・・・そう」

真夜中にかかってきたその電話の内容に僕はそれだけしか答えなかった。
普段ならもっと気のきいたことがいえたかもしれないけれど、今はそう答える気にしかならない。
電話の横にあるメモ帳を右手でパラパラと捲って次の言葉を待つ。
それでも次の言葉は聞こえてこない。かわりに、呼吸音が普通のものより速いペースで聞こえてきていた。

電話の相手の戸口さんは
『人を殺した』のだという。
困った戸口さんは僕に電話をかけてきたのである。
『人を、人を・・・殺しちゃった・・・』

僕にどうしろというんだ。
そんな気持ちを表に出さないように気をつけたらあの二文字しか出てこなかった。

もしかしたら戸口さんも僕の言葉を待ってるのだろうか。
・・・しかたない。
話もすすまないし。

「死体、どうしたの?」

まさかそのままじゃないだろうな。

『・・・埋める、つもり』

つもり、ね。
じゃあまだそのままなのか。
僕に電話をかける前に埋めるか捨てるか隠すかくらいは自分で考えてくれよ。

「んじゃあ埋めれば?」

眠いし。こっちだって。
後ろの時計を振り返れば・・・
ん、そうだ。電池切れてたんだ。
今度買いに行かなきゃ。
携帯はベッドの横に置いてきちゃったからなぁ。困った。

『・・・うん、うん。そうする』

・・・。
?あれ。なんで電話きんないの。
まだなんかあんのかな。

「どうしたの」

早く済ませて欲しいんだけど。
14回目のメモ帳ぺらぺらが終わりに差し掛かる。

『あのね、人を、人を、殺しちゃった』

さっき聞いたよ。
今度は「そう」とは答えないことにしよう。

「・・・誰を殺したの?」

単なる興味にかられた。

少し黙った戸口さんは
こっちからでも分かるように、笑った。
僕を馬鹿にするように。

そのあとの戸口さんの声は
後ろからも
聞こえた。


「『今から、キミを』」


ふりかえると、
僕の携帯を耳に当てた戸口さんが、




〜end〜



一話目です。
おわったおわった。

何か短くてごめんなさい。
これからもこんな感じで続いて『?』行くと思います。

それではまたいつか!