ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 僕と戸口さんともうひとつ ( No.26 )
- 日時: 2011/07/03 18:59
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: /qKJNsUt)
僕と戸口さんと24の忘却
隣の家には同じ歳くらいの子がすんでいた。
大きい家だしよく親は羨ましいと零していた。
でも僕はこのままの家で良いと思っている。
部屋が狭いほうが物が近くて便利だ。
その子は滅多に家から出ない。
らしい。
その子が家から出るところを見たことがないし。
その理由は大体知っている。
あれ。だからだろう。
僕の部屋の窓を開けると、すぐ側にそのこの部屋の窓がある。
「おはよう」
そこで僕はその子、戸口さんに話しかけることが日課となっている。
「あ、おはようございます」
いつも同じ会話をするだけなんだけれど、それでも別に良かった。
「・・・えっと・・・はじめまして」
その理由は戸口さんがアレだからだ。
「はじめまして」
ここで、会話はとまる。
毎日繰り返されてきたことだから、よくわかる。
「今日はいい天気だね」
僕が会話を再会させると戸口さんは空を見上げる。
戸口さんの家の庭にある木の葉っぱでよく見えないから少し戸口さんはみを乗り出す。
そうすると髪の間から戸口さんの首の黒子がみえた。
「・・・そうですね」
戸口さんがモトの体勢にもどると戸口さんの部屋の奥から戸口さんを呼ぶ声が聞こえた。
うん。
いつもと同じタイミングだ。
「あ、あの人が呼んでるから」
窓を閉めようとする戸口さんに僕はいつもと同じ言葉をかける。
「『また明日ね』」
動きが、止まる。
「・・・アシタって何?」
クリクリの無垢な目が僕を捕らえようとして失敗した。
「・・・君の知らない時間」
そういって窓をこちらから閉める。
また明日も同じ会話を繰り返すのか。
いつになったら、戸口さんは僕の名前を、存在を、明日を、憶えるの。
明日の僕の第一声はきまっている。
戸口さんにかける、「おはよう」だ。
そして戸口さんは「はじめまして」という。
昨日もあったのに。
はじめてじゃないのに。
僕はまた、今日も窓に手をかける。
「・・・おはよう」
戸口さんは不思議そうに、微笑む。
「・・・はじめまして・・・?」
はじめまして、昨日もあった、戸口さん。
〜end〜
八話目です。
あれです。
んと、記憶が一日で消えちゃう病気の戸口さんの話です。
どうだろう・・・微妙な話だったかな。
本当は最後に記憶が残っていてハッピーエンドにしようかと思ったんですが、あえてやめました。
大暴露するとそろそろネタがつきます。
そしたらこのスレはオワリかな・・・。
その分、社会問題のほうに力を入れます。
(ネタあったらちょうd((殴)