ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 「僕と戸口さんが同じ・・・か」 ( No.34 )
- 日時: 2011/10/10 14:30
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: VBgkspJi)
僕と戸口さんと死に損ないの世界
・・・という夢を見た。
目を開ければ、いつもの窓の外の景色。
あぁ、本当に、夢だったのか。
妙にリアルだから、一瞬現実なのかと疑ってしまった。
幸い、教師にはねてたのがばれていなかったようだし今日はついてる。
途中から聞いてもわからないので、聞いているフリをしながらノートに頬杖をつく。
そして、さっきの夢を思い出す。
目線は、私じゃなかった。
いつだって夢の中では私は『僕』だった。
『僕』の心はなんだかずっともやもやしていて、自分の心なのに他人のもののようにそこが見えなかった。
それが凄く怖くて、不安で。
いつか、自分の心がなくなってしまうのではないかと思ってしまうのだ。
授業が終わる。
私は号令に合わせて立ち上がり、適当に礼をした。
変な夢で、コレまでの夢と違って、深く頭にこびりついていた。
あの音。あの鉄。あの花。あの空。あの物語。あの鼓動。あの席。あの忘却。あの悪臭。
夢の内容と恐怖と不安が、今でも思い出すことができる。
でも、何故か怖いとはもう思わない。
それが現実だからなのか、もう自分が『僕』じゃないからなのかはわからない。
「ねぇ、ノート見せてくれない?」
声をかけられて、顔を上げれば、隣の席の男子が立っていた。
「あ、ごめん。私、寝てたんだ」
少々恥ずかしいが、こう答えるしかない。
彼はかすかに笑う。
彼の笑顔が、私は嫌いだ。
心から笑っていない、しかも『嘘の笑顔』ともいえないどちらかというと死に顔に感じる。
それが嫌だ。
「そっか。君もか」
「寝てたの?」
彼に聞けば、彼は頭の後ろをかいてから、また後ろで手を組みなおす。
「うん。夢を見るほど、ぐっすりね」
珍しく口数が多い彼に驚きながら私のほほが緩む。
「私と、同じだね」
驚いた顔を一瞬した彼はまた死に顔を晒すように、笑った。
「・・・そうだね」
彼は、笑顔を作ったまま、顔を伏せる。
口がもぞもぞと動くのは分かったが、何を言っているのかまでは分からなかった。
「ありがとう、じゃあね」
手を振りかえして、私は思考に戻る。
愛がほしかったんだと思う。
今思えば、夢の中のあの心がここにないような感覚がしていたのは愛がなかったからだと思った。
たしかに愛はあったが、それは乾いたものでとても温かいとはいえないもの。
その愛を渡すのが怖くて、二人はすれ違っていたんだ。
これは私の推測だし、今更分かったってここは現実だからどうにもできないんだけど。
軽く伸びをすれば背骨がパキパキと音を立てる。
まぁ、いっか。
そう思い、また机に顔を伏せる。
それじゃあ、またあの夢を見てこよう。
私の瞼が降りると同時に、この世界が死んだ。
〜end〜
えーっと。
最終話です。
最後にしては物足りないとは思いますが、ごめんなさい。
最後まで、あやまってばかりでした。
満足のいく作品はかけませんでした。
みなさんも満足されなかったと思います。
結局、誘拐の話もかけなかったので最悪ですね。
ぐだぐだだったけど、終わるとなればやはり淋しいです。
だけれども、今まで呼んでくださった皆さん、ありがとうございました!
また別スレにてあえたら幸いに思います。