ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕と戸口さんともうひとつ ( No.7 )
日時: 2011/04/01 18:44
名前: 揶揄菟唖 (ID: NcVt2sWO)


僕と戸口さんと白雪の花


最後に死体を触ったのは、いつだっただろう。

そうおもうと、記憶が白黒になってしまうほどの昔だ。

あの時は確かひぃおばあちゃんの死体を触った。

お母さんに手を引かれて皆のマネをして顔の側に花を添える。

その時だ。
最後に死体に触ったときは。

ただ、何の感情もなくそのしわくちゃの肌を撫でた。

別に何の関わりもなかったから悲しくなんてなくて、
暇で、つまんなかった。


そんな昔話を思い出していると僕の番がやってきていた。

あの日と同じように花をおいて、
あの日と同じように肌を撫でる。

今度はしわくちゃじゃなかった。
当然といえば当然なんだけど、僕としてはしわくちゃなほうが良かった。

冷たいのが、はえるから。

冷たくて、血が通ってなくて、死んでいて。
もうどれも僕とは違うのに
つい昨日まで僕と同じ人間で、生きていた。

ひぃおばあちゃんの死体を触ったときとは違う感情が溢れてきそうなのを僕は必死に堪えた。

拳を握り締めて、柩から離れる。

笑ってる写真から目を逸らしたくてたまらない。
どうしてだ。
身体はここにあるのにどうしてこんな写真を飾る必要があるんだ。

もう戸口さんが流せないものを頬に伝わせながら、
僕は最期に口に出す。

その柩の中にあるどの花よりも

「綺麗だよ」

誰かが抱きしめてくれたような気がした。


〜end〜


三話目です。
みじけぇぇぇぇぇっぇ!
そして意味ワカンネ〜〜〜!!

もうこうなったら最後までこんな調子で行くしかねぇ・・・