ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 私は死神・・・ ( No.238 )
日時: 2011/12/08 19:04
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: f4Q8EoDG)

第29話 お母さん



女の人が泣いていた

綺麗な黒髪を、赤い色のゴムで束ねている

隠れているが、その瞳はきっと彼と同じこげ茶色なんだろう



「初めまして、ターゲットのお母様♪」

「誰!?」



私の声に反応して、女性は振り向く

あー、やっぱり

涙で濡れているけど、はっきりと分かる

こげ茶色だ

アイツと同じ色


ま、当たり前だよね



「月宮雷斗のお母様ですよね?」

「雷斗を知っているの!?」

「もちろんです」



だって私が狩った魂だもの♪



「・・雷斗の・・お友達かしら?」

「え?」

「なら、知っているわよね・・・あの子・・死んじゃったのよ・・」



いやいや、存じ上げておりますよ?

死神ですから

しかも、魂を連れて行っちゃいましたから☆



「あ、お焼香・・あげてくれるかしら?」

「え、あ・・・はぃ・・」



あ、なんか言っちゃった

なんでだろう?

この人を見ていると・・・すごく・・心が・・



































痛む

























これは人間だったコロの私の記憶?

母の悲しむ顔をみた私の・・・?







分からない

分からない





分からない・・・


























「ゆっくりしていってもらってもいいから・・」



そういって、その人はにこりと笑った

でも、辛そうな笑顔だった


ああ、子を失った母の顔ってみんなこういうものなのかな?

私には分からないけど、私の記憶はこの顔を見て叫んでいる


『笑っていて・・・お母さん』


頭に、不意に痛みが走った

何かを・・・思い出しかけた・・


でも・・・思い出せなかった


でも




私にも、死んで泣いてくれる母が居たということは分かった