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Re: 私は死神・・・ ( No.246 )
日時: 2012/06/28 20:18
名前: 優音 ◆XuYU1tsir. (ID: AKehFwYl)

第31話 見えた



男は二人を自分の両側に立たせる
二人の幼子は特に臆した様子もなく、ただ花月を見上げていた



「・・・名はなんと言う?」



花月が尋ねる



「蓮華」



男の右側の幼子が答える



「蓮茶」



左側が答える



「蓮華に蓮茶か・・・」
「花月・・・」



幼子はじっと見上げている
その瞳を見つめ返して花月だったが・・・



「二人とも、お菓子いる?」



コロッと笑顔で幼子に語りかける花月に、夜緒羅は脱力感に襲われる
それは男も例外ではなく、手が危うく滑りそうになった
幼子は顔を見合わせ、小さくうなづいた
それを見て花月は満足げに息を吐き、一瞬で二人の前に移動する



「!さすがは死神のトップ・・・お早い移動で」



男が驚きで目を見張り、感嘆の声を上げる
その男にニコリと笑いかけて、花月は二人の目線にあうようにと腰をかがめる



「二人は驚かないのねー」
「「・・・」」
「あ、もしかして見えてたのー?」



花月の質問に、夜緒羅は馬鹿馬鹿しい、と小さくつぶやいた
いくら魔王と神の後継とはいえ、まだ小さく幼い
そして対極の存在にある二つの血を引いているのだから、その強大すぎる力同士が反発しあって消滅しているかもしれない
だから、見えるわけがないのだ



しかし




「・・うん」
「・・・あれ?」
「見えた」
「わぁ、本当?死神トップの名が泣くなー」



ニコニコと笑いながら喋り続ける花月



「み・・・えただと?」



そのとき、夜緒羅は驚きで表情を崩していた
しかし、すぐに平常心を取り戻す
花月は本当のスピードの十分の一も出していない
それなら二つの血があれば見ることは出来るだろう
そうなれば反発しあって消滅、というのは違うだろう



「うん、じゃあ蓮茶ちゃんと蓮華ちゃんは、こっちおいでー」



花月は二人に手を差し伸べた