ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者レベルゼロ Liars' feasts ( No.24 )
- 日時: 2011/04/07 15:29
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: MlJjY9/z)
クマムシをいとも容易く一掃した男は、そのままクラウンへと歩み寄る。 そして、足元から順に顔までを見て、
「意外だな、女だったのか」
驚いた様子でクラウンのことをまじまじと観察する。 だが、クラウンは気にする様子も無く、
「そうだったら、悪い?」
「いーや、全然。 取りあえず、現状を話すとだな。 今裏社会がお前の存在に気づいている状態だ。 今までは単独で一人突っ走って返り討ちに会い続けた上で、お前の仲間のお嬢ちゃんが情報操作していたようだが、今回は都合が違ってな。 お前のことを、大きな組織が目をつけているのが裏で知れ渡ったおかげで、今やお前の能力は宝と化してる。 で、そんな能力を欲しがる連中の一人の俺が言うのもなんだが、俺と来い」
能力が欲しいのであれば、殺される可能性が高い。
さっきのクマムシは能力者ではなくてこずったが、今回は相手が能力者……クマムシより強い自信はある。
「おっと、そう構えないでくれよ。 悪い話じゃないし、お前の所の嬢ちゃんもOKしてくれた。 いったん俺と来いよ、レジスタンスの仲間になってもらえると心強いしな」
そいつはポケットを探り、携帯電話を取り出すと、
「俺だ、あの嬢ちゃんに代わってくれ」
それだけを述べてクラウンにそれを投げ渡した。
「もしもし?」
「ああ、やっと。 心配したのよ、あんたが変な組織に捕まったとか聞いたから!」
電話口で、シェリーは大声で怒鳴る。 つい、その怒鳴り声に、クラウンは電話を耳元から離す。
「分かったよ! 分かったからもう少し普通に喋って! 聞き取れないし五月蝿い!」
「いや、もういいよ。 気が済んだから。 で、これからの指示を与えるね、いつもやってたことだし。 私は今、……あ、ここの名前出しちゃ駄目? ああ、ハイハイ。 場所はいえないんだけど、レジスタンスの本部に居る。 だから、そこにいる人に連れて来て貰うように」
その言葉の直後、前触れ無しに電話が切れた。 それを確認し、電話を投げ返す。
「さて、クラウンだったな。 俺は、黒薙童子。 レジスタンスのボスだ。 ボスといっても、自ら動く所為で表向きには一平卒の雑魚扱いだが、恐らくこの世で俺が一番強い」
凄い自信だな……。 どうしたらそんな自信が沸く?
自分が最強って、どいつもこいつも言ってきたケド、確かに、威圧は凄かったし、クマムシを一瞬で全滅させる所を見れば、相当強いことは見て取れる。
しかし、最強か如何かなど、さっぱりだ。
「付いて行って、何をすればいいの?」
クラウンは用心深く相手の魂胆を探る。
「いや、特に何も」
「だったらボクを連れて行く意味はないだろう?」
「ああ、そういうそれじゃない。 戦うようなマネはしなくて良い、お前の能力が必要なんだよ。 反能力者化ではなく、元から持っている能力の方がな。 ……ところで、関係ない話をするが、能力者がその特異性のために迫害されているのは知ってるだろ? ある所では親が能力を持った子供を殺したほどのレベルでな。 で、その能力が俺達レジスタンスの人間にとっては邪魔なんだよ。 つまり、お前の能力を使って能力者の能力を捨て去ると言うことが可能なんだ。 そして、それとは反対に能力者が能力を捨てるのではなく、能力者だけが存在する世界を作ろうとしているのが、さっきまでお前の前に居たクマムシを作った組織だ。 折れとしても、奴等にお前を取られると後が面倒だ。 どうも、反能力者化能力しか持っていないと勘違いしているらしいからな。 その複数の能力を扱うと言うところに目が行ってるんだろう」