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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 憎的殺気感染注意報 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/31 21:16
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
#1
私は死んだんだ。
私がそれを確信したのは、自分の死体を見たからだ。幽体離脱ってやつだろう。私は飛び降りた。自分の住むマンションは10階建て。私は最上階に住んでいる。死に場所にはもってこいだと思ったらだ。
見下ろすのは、血に赤く染まった私。
死ねたんだ。よかった…。
耳の奥に、かすかに風の音が残っている。私は笑っていた。死ねた。ようやく死ねた。
相当嬉しいことだ。
虐めや虐待から逃れられたのだから。
「貴方の命は一つしかない大切なものです」
こんな台詞など奇麗事に過ぎない。私はもう戻らない。戻りたくもない。せっかく死ねたんだから。
誰にも聞こえない私の笑い声が響く。いや、誰も聞いてくれない、のほうが正しいのかも知れない。
腹の底からこみ上げてくる笑いが一段落して、辺りはまた静寂に包まれた。私は高く飛び上がった。飛べた…。私はまた、「死」に感謝した。
さて、何故飛び上がったのかを説明しておこう。
私が唯一つやり残したことがあるからだ。それは、「抹殺」だ。
私を否定したすべての人間を、抹殺するのだ。私の怒りを、思い知らせてやる。
私の笑い声が、空から高らかに降り注いだ。
静かにすましている街が、一瞬震いあがったように見えた。
殺シテヤロウ。「死」ニ感謝スルンダナ…。
私はその言葉を何度も繰り返した。心の中で。
さぁ、最初は両親だ。両親を殺しに行こう。
——罪はかぶらない。「霊に殺された」なんてこと、誰が信じるものか…?
私の笑い声は、壊れたラジオのように、止まることはなかった。
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