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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 憎的殺気感染注意報〜憎しみの連鎖〜 ( No.8 )
- 日時: 2011/03/31 22:27
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: ZTrajYO1)
#2
両親の住んでいるところは、私が住むマンションではない。虐待の末に、私を捨てたのだ。私は生前、一人暮らしで、家賃に追われる生活をしてきた。
捨てられたその悲しみと、虐待の痛みがまだ残っている。
——死んでも忘れられないほどの痛みなのだ。
両親の住む、一軒家は町外れにあった。
この街は、街並みがとても美しいと評判の、港町だ。それほど田舎という印象もなく、ビルも普通に立っている。
その一軒家は、ほかの住宅とは少し距離があったので、見つけやすかった。
私が地に下りる。
『家の中にいる両親は、最期をかみ締めてはいないだろう。きっと後悔するな…』
私はドアの取っ手に手をかけて、口の端で微笑した。
ドアを引いてみる。——当然ドアは開かなかった。鍵がかかっている。
私としたことが、鍵の存在を忘れるなんて。
口の端がまた、大きくつりあがった。
母がドアの音に気がついたのか、「どちら様?」という高い声が聞こえた。
近づく足音。
私は、手を握り締めた。
ガチャ。
「————え?」
母はそれしかいえなかった。私がそれしか言わせなかった。
首を両手でつかみ、締め上げる。
母は小さく喘いで、そのまま冷たくなっていった。
「どうした?」
今度は父だ。
玄関に現れた父を、同じように締め上げる。
どさり、と音を立てて、父が母の上に倒れこんだ。
『一つ目の目的、達成だ。アハハハッ』
私はまた、飛び去った。今度はクラスメイトだ。虐めグループを殺しに行こう。
私はまた笑い出す。
玄関の二つの骸が起き上がったことも知らずに。
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