ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

あいつなんか死ねばいい ( No.2 )
日時: 2011/04/01 11:32
名前: 千咲 ◆864fRH2jyw (ID: lPEuaJT1)

一章 「嫌いな人」

あいつの事は大嫌いだ。
我侭で自分の事しか考えないし、少しでも嫌な事があれば暴力で反抗する。
あいつが泣かせた人は、10人は軽く超えていると思う。
しかもあいつは先生に毎日怒られている。
ほら、今も教室の前に立たされて怒られている。
ざまあみろ、と思いながらあたしはその様子を眺める。
「自分がされたら嫌な事はするなっていつも言ってるだろ!?」
先生の怒声が教室に響く。かなり大きな声なので多分隣の教室にも響いているだろう。

このクラスの担任は、普段は明るくて良い人だが怒るとかなり怖い。
その為、説教の時は少しビビって耳を塞ぎそうな人も数人居る。
もちろん耳を塞ぐなどしたら、巻き添えを喰らうのが目に見えているのでそんな事をしている人は居ない。
皆巻き添えを喰らわない為にきちんと座って態度を良くして、あいつが怒られる様を見ている。
もちろんあたしもだ。

いつも説教中は学芸会が始まる前のように緊張感が張り詰め、聞きたくもない怒声を聞き、まるで自分が怒られているみたいだと感じる。
早く説教が終わって欲しいと思っている人はきっと沢山居るだろう。あたしもその1人だ。
それでも、あいつは全く反省していないようにジャージの紐などをいじりながら、下を向いてニヤついている。
その様子を眺め、さっきからニヤついて一体何がおかしいのだ、と先生はまた怒声を教室に響かせる。
「先生ー、説教長いっスよー」
それを遮り、だるそうにあいつが言う。
その発言に驚愕したのか、先生は目を見開いてあいつの襟首を掴む。
先生だけではなく、皆も、その発言には驚愕しただろう。

溜め息をつきたくなるほどに説教は続き、さっき終わった。
何事もなかったかのように先生は授業を進める。
そしてあいつも何事もなかったかのように授業を受けている。
あたしはあいつを数秒、睨みつける。その視線に気付かずにあいつは教科書をパラパラと楽しそうに捲っている。
早くあいつ、死んでくれないかな。マジで。