ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 化物狂詩曲-バケモノラプソディ- ( No.24 )
- 日時: 2011/06/26 07:14
- 名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 超お久し振りです!!
「なつねぇ、お願いだからぼくの傍にいて?
逃げなくてもいいよ大丈夫ぼくは夏音お前を愛してるから怖いコトしないよだからぼくのとこにおいでよねぇなんでぇ? なんでお前ぼくから逃げるのああそっかぁぼくと追いかけっこがしたいんだねそれならそうと早く言ってくれればいいのにあはははははははははははははははは!」
狂ってる。壊れてる。なんだこの男。こいつら本当に兄妹なのかよ。兄妹だったらこう…もっと可愛い感じだろ? 中学生だし。
「ごめん、ごめんねお兄ちゃん。でも私はさ、やっぱり生きていたいワケ。兄妹の関係で恋愛に持っていくなんてさ、お兄ちゃん少し考え直しなよ。ほら、クラスに好きな女の子とかいるでしょ?」
穴浜妹はじりじりとカッター持って近付いてくる兄から、ちょっとずつ後ずさりしながら反論する。と、穴浜兄が突然動きを止めた。カラン、という音がして——
「夏音はそんなに、ぼくのこと嫌い?
「だってさっきからぼくのこと否定してばっかじゃん!
「言い訳なんてもういいよ。ねえぼくのこと嫌いなんでしょ?
「答えてよ、ねえ夏——
「………兄として、家族として…ね。
「じゃあやっぱり恋愛対象として、ぼくを見てはくれてないんだ?
「そんなの…そんなの——嫌ぁぁ」
穴浜兄が自らが先程落としたカッターを踏みつけて、それからカバンの中を探り出す。求んでいるものがすぐに見つからなかった為か、時々彼の眉間にしわが寄ったりしていた。穴浜妹は、兄のその姿をずっと見詰めていた。しかし、顔色一つ変えないでいる。
「みーつけたっ♪」
可愛らしい、男とは言えない言動で、目を光らせた。それからそのブツを持って穴浜妹のほうに向き直る。
「ぼくねぇ、思ったんだぁ! 夏音がぼくだけのこと見てくれないなら、ぼくだけしか見れないようにすればいいんだ、って!!」
……こいつ、正気かよ。ありえねえだろ普通。
キラリという効果音を通り越して、ギラリと光る真新しいナイフをだらりと持ちながら、笑顔で小首を傾(かし)げている。
「夏音、これはお前へのお仕置きだよ? 少し痛いだけだから我慢してね一瞬だからほんとに一瞬で済ませてあげるから!!
ぼくね、孤独恐怖症なんだよ、知ってるでしょ? だからね、いつでも夏音に傍にいてほしいんだぁっ。ずっとずっとず—————と一緒にいる為には——」
お前を、殺さなきゃ♪
そう言って奴は、穴浜妹の心臓目掛けて、ナイフを持って走った。