ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: L I N Q ( No.1 )
日時: 2011/04/12 19:13
名前: ライダー (ID: BZFXj35Y)

彼らが誕生したのは2056年の春頃だった。
2046年に米国との貿易で最新機械技術を得た日本は、更なる高みを目指して進化し続けていた。
そして約10年の月日が流れた頃、日本政府はとある物を生み出した。
それは


       『LINQ(リンク)』


                  と呼ばれる人工的に作り出された人間である。
LINQが造られた理由は、「近い間に来る世界終焉」の対策と日本政府は発表した。
LINQは国内で14体造られ、それぞれ外見・性格は異なり性別も存在する。
更に、14体のLINQは異質の固有能力が存在する。すなわち超能力だ。
超能力が備え付けられた理由は勿論、「近い間に来る世界終焉」のためである。
彼らは特別な存在なだけであって、本土に在住しておらず、離島に建てられた施設で生活している。



  『LINQ HOUSE(リンク ハウス)』



東京の港から政府専用の船で約24時間移動した地点に、生い茂った森と露した岩に囲まれた島がある。
島に名前はない。
閑散とした港には色々なコンテナが置かれており、ポートオーソティも設置されている。
港から山中に舗装された道を10分程、車で移動した所に白色の正方形の建物が建っている。

     それが、『LINQ HOUSE』だ。

大きな鉄門を通り抜けると、花や観葉植物、遊具が置かれた庭。
塵一つないエントランスを抜けると、円卓と椅子が並べられた大ホールに到着する。
円卓の上には花瓶に入った多種多様の花、壁には大型テレビが埋め込まれている。
ホールの窓から見える一面の海景色は絶景だ。庭とも繋がっており、ホールから庭も見渡せる。
周りから見ればただの病院の様な介護施設に見えるが、ここに彼らは住んでいる。






人工的に造られたLINQは、まだ子供なのだ。






そして、彼らは人間の4分の1しか寿命がない。つまり、20歳までしか生きることができないのだ。
彼らは子供のままで生涯を終え、脳に予め付けられた装置が作動して機能が全て停止する。
用意されたレールの上をただ黙々と走り続けるLINQ達は、人間と同様に感情もあり夢も見る。
これは、造られた人間LINQの長い長い物語。

彼らはただ単に、用意されたレールの上を走り続けるのか_____



それとも



レールから離れて意思で動くのか_____







使命を果たしたその時




彼らは何に気付くのだろうか_____