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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.113 )
- 日時: 2011/07/24 13:20
- 名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: ThA8vNRQ)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
その日やって来た客は、招かれざる客だった。
穢れの無い白い肌とドレスに、まるで半紙に墨を落としたかのように広がっている宵闇の髪。
そして、『魔女』の名に相応しい深紅の瞳。
凄艶な女だと、思った。
女は紅が引かれた唇を吊り上げ、緩やかな笑みを浮かべた。
そして、俺は鉄の臭いを纏う女に、その瞳と同じ色に染め上げられた。
——ああ、これが走馬灯か。
「見てよ 父さん 母さん! すごいでしょ!」
幼い頃の俺が、自分で育てた大根を持って両親に微笑
んでる。
「あらあら、凄いわね 凪風」
「凄いなぁ、一生懸命育ててたもんな!」
……幼い頃、いや今も、幾度か思った事がある。
俺が、生まれてこなければ良かった、と
そんな事を考えて『それも悪くない』なんて……
……だけど、仮に もしも、今と違う生き方があったなら
。
両親の笑顔が、もっと見られたのだろうか……
眠くなり落ちていく瞼。
完全に意識が闇に沈む寸前に、誰かの叫び声を聞いたかもしれない。
クランベリー
(運命を決する深紅の瞳)
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