ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

幸福ブラザー ( No.33 )
日時: 2011/05/12 15:52
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: CbXJUujt)

此処で私の異世界に来てからの生活をご紹介しよう。
私は突撃!●なりの●ご飯のように各家を突撃しては泊まったり御飯をいただいたりしているのだ。
今私がいる家の持ち主、二野神風浪と二野神雷次は双子である。
だが立場では風浪が兄なので風浪がいったことに雷次は逆らえないのである。
風浪が良いといったので私は現在二人の家に居候中なのだ。
でもお金とかは自分で稼いで私物を買ったり家賃として彼等に支払ったりしている。
だから、大好物のお菓子も一ヶ月に買えるか買えないかなのである。
そのお菓子を食べられた。
犯人として思い当たるのは————

「オイコラ雷次ィィイイイイイイ!!」
「な、なんだよッ!」
「私の大福食べたでしょ!?」
「おっ……お前が何のこといってるのかちょっとよくわからねぇんだけど。」

そういって顔を反らす雷次に私は口を尖らせて彼を見据えた。
口元にあんこが付いているぞ、自称最強、二野神 雷次。

「……あーあ……食べたかったなぁ、春の屋のこしあん大福……」

私は残念そうにそういって彼をちらりと見やる。
彼は私の言葉にぴくりと動くとばっとこちらを振り向いた。

「ん? 違うぞ! こしあんではなくつぶあんだ!!」
「やっぱ食ったんじゃん。」
「ぐっ、ち、違う、断じて違うぞ! 俺は行き着けだから知っていたまでだ! 絶対に食べてない!」
「口元、あんこ付いてる。」

ジト目で見ながら己の口に手を持っていって指す。
彼は面白いくらいに慌てだした。

「なんだと!?……ッ……これは兄貴が土産に持って来たおはぎの餡! 春の屋の限定つぶあん団子では無い!」
「…………美味しかった?」

笑顔でいってやる。
彼も満面の笑顔で

「勿論!!…………あぁぁああああ!」

答えた(自白させた)。
きゃぁ、やっちゃったとでも言わんばかりに顔を赤く染めて彼は目を見開いた。
私がジト目で睨んでやれば雷次は「悪かった」と落ち込む。

「後でなんか頂戴ね。」
「うぅ……俺を口車に乗せて自白させるとは……お前は立派な軍師になれるぜ!」
「なりたくないね。」

そういいながら二人で縁側に腰掛ける。
雲雀が高く舞い上がった。
不意に雷次を見れば浮かぶ年相応の笑顔。
私は眉を寄せて問う。

「……何笑ってるのよ」
「いや、楽しくてたまらねぇンだ。戦いや両親の事を考えるとやっぱ気が滅入るからな、だからこんなくだらねぇ時がたまらなく楽しい。」

そういう彼の横顔はどこと無く大人びていて手が届かないような錯覚が起きた。
思わず雷次の手に自分の手を重ねる。
彼の顔が一瞬で赤くなる。
おーおー茹蛸みたい。

「ちょっ、おま、何してんだ!!」
「……雷次……無理しないで」

力を込めながら言うと雷次は少しまだ顔を赤らめたまま呟いた。

「心配すんな。俺を誰だと思ってる。」

俺はまだ大丈夫だ、と雷次は笑った。
















幸福ブラザー
(幸福の背景には不幸しかないのだろうか)