ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

真っ黒スカイ ( No.38 )
日時: 2011/05/12 15:58
名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: CbXJUujt)
参照: るりぃ改め華京!心 機 一 転 !

戦が終わったばかりの、場所。
闇夜に映し出されるのはゆるゆると流れ続ける紅で、私は充満した臭いに眉を寄せた。
紅月 朔夜。
彼女は印象に残るキャラ、というかトラウマになるキャラだった。
彼女のストーリーモードは、どのルートを選んでも『どう足掻いても、絶望』という感じだった。
ストーリーどおりだったら、彼女は、このまま。

「朔夜、」
「……何ですか。」
「痛い?」
「死んだ子供達に比べれば、こんなもの痛くありません。」

そう言いながら包帯で止血していく彼女。
月明かりに照らされた傷だらけの躯にまた、一つ守った命の数が刻まれた。

「——朔夜が望む世界に必要な物は何?」
「生。」

その言葉を吐いて彼女は私を真っ直ぐ睨む……いや、見てくる。しっかりとした強い瞳と口調に私は口元を緩めた。
なんて強い、確固たる意志なのかしら。

「生きて、この乱世の終わり……私の望む孤児たちが幸せに暮らせる家を作るためにも、望夜と会うためにも、生きる。」

こんな所で死んでたまるか、そう言って彼女は包帯をまた一つ強く結んだ。









真っ黒スカイ
(乱世を生きて、勝って、屍の上に立ったとしても)