ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: KATANA-刀- ( No.50 )
日時: 2011/05/20 06:02
名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: 2h9idj6y)
参照: るりぃ改め華京!心 機 一 転 !

「あの〜……」
「何ですか? 若き異世界の神子さん。」

整った庭を臨む部屋には私とこの女性が一対一という異例の状況があった。
薄く微笑む姿は私より、寧ろあなたが神です!! と叫びたくなるぐらい神々しい訳で、雀が一発で落ちた理由も分かる。
彼女は【     】。
雀がこの世界で唯一愛した女性である。
何故死んだはずの彼女と私が会っているのかって?
それは多分夢の中で見る夢だから。
何でもあり、なのだろう。

「【  】さんは……」
「【  】、で構いませんよ。」
「う……【 】……【  】……サン……」
「【  】」
「……、【  】…………」
「なんですか?」

あぁ、なんでこの人は輝かしいんだ! どんな事しても美し……なんか汗とかかかなさそうだ。
とりあえずそんな考えは頭の隅に追いやって私は彼女を真っ直ぐ見つめた。

「あの、どうして裏切ったんですか?」
「何故、とは?」

「【  】、は、雀を……裏切ったから……夢の中に現れることができるのに……雀に何も話さないから……」

ふ、と笑みが浮かんだ。
遠くで雀の鳴き声が聞こえる。

「雀が未だ、己の存在意義を見出してないからです。」

視線を庭に移したから私も視線を庭に移す。
静寂な雰囲気の庭で鯉がひとつ跳ねる。

「今はまだ意志の無い人形。しかし、いつかこの乱世がおわったとき、殺戮人形と化した彼は居場所を失い、迫害されて……殺されるでしょう。」

瞳と瞳がばちりとかちあった。

「戦乱の終焉の時をリミットとし、私は雀が私を模して作った人形以外の、【大切なもの】を見つける、その時まで、私は雀を見守るだけです。」

私は更に問う。

「……【  】。裏切ったのには、何か理由があるんでしょう?」
「理由があったとしても、今更それを言って何か変わる訳ではありません。」












清心ドリーム
(貴女が言わなければ彼は人形のままだろうに)