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Re: 【大勢に読まれなくても】KATANA-刀-【それでも、私は】 ( No.60 )
日時: 2011/06/11 18:49
名前: 篠鼓 ◆6rD.0ypKNs (ID: 1j9Ea2l5)

前記ですー

※支援に満たない支援小説
※クオリティーは華京さんの方が上
※世界観が損なわれる可能性があります
※粗い上に雀君のキャラ崩壊

前提事項をー

※雀と「彼奴」さんがメインのお話
※雀と「彼奴」さんは昔からの知り合いです
※この文ではマトモに見えるかもだけど雀君はマトモじゃないです
※てか、「彼奴」さんのキャラが結構ディープ

※起承転結のハッキリしていない文章だが、大丈夫か?

大丈夫だ、問題n(( な方はどうぞー
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相変わらずゴミ捨て場のような廃墟のような荒屋に、彼は居た
「よー、雀ちゃんかー、来てくれたんだな」
腐臭が漂えばゴミ捨て場同然になりそうな空間の中心、
捨てられて廃れたのであろうコタツの上に『見慣れた青年』は座っていた
「その呼び名止めてくださいって何度言えば分かるんですか、絞めますよ首を」
「おぉ、怖ぇなぁオイ …くわばらくわばら」
雀は大げさに両手を合わせて何やら唱えている『見慣れた青年』を無視し、ガラクタが大量に積み重なった山を漁った
「で、今日は何の用事だ?」
「暇だったので」
「暇ってオマエ……」
「ああ、そうだ 今日は『紅炎』と『重影』、『七詩さん』はいらっしゃらないんですね」
雀のいかにも興味の無さそうな問いに、『見慣れた青年』は笑って答えた
「アイツらは今は寝てる、お蔭様で俺様は絶好調だな! …でも、そろそろ『重影』は起きてきそうなんだよなぁ…」

目前の彼は『彼奴 七詩』、カレヤツ ナナシという名前だ 名字が名字なので周りからは「彼奴きゃつ」と呼ばれている
ちなみに「彼奴」は本来三人称の人代名詞であり、
第三者を軽蔑して、または親しみの気持ちを込めてぞんざいに言う語の事である
下の名前はあまり知れ渡っていないので、意味通りと言われればそんな気がするが
『七詩さん』とは昔からの知り合いで、姿こそ一切変わっていない変な人だ
何が変わっているのか? ……『多重人格』とやらをご存知だろうか
体は一つだが中身がたくさんというよく聞くアレである
周りの話を聞く限り、自分は賛成するつもりは無いがその『多重人格』とやららしい
今自分が会話しているこの人も、姿は『七詩さん』だが正しくはこの人の人格の内一つ、『真星まぼし』である
人格は他にも『紅炎こうえん』、『重影しげかげ』、『小夜さよ』の三つがあるらしく、
人格は主人格の『七詩さん』を含めると、五種類あるという計算になる …名前がついているものだけで
この人の人格が切り替わる時は大抵糸の切れる様な音がする ほら、聞こえた
「……んっ…ああ、御免なさい さっきまで寝てました」
「…いえ、お気遣い無く」
「すみませんね、あの野郎が迷惑をかけて」と顔色を伺うかのように『重影』は笑った
このように『七詩さん』の人格の交代は急な物で、酷い時には数分間に五つ全ての人格が顔を出すことがある
全員とも一定の記憶の共有はしているものの、ほとんどの記憶や考え方などは似て似つかない
その上、人格の交代と共に声帯や感情も変わるものだから、この人に慣れていない頃は数人を相手にしているような不気味さを感じたことすらある
故に『多重人格』というよりも『人を一箇所に閉じ込めた』ような気がするのだが理論的にはやはり『多重人格』で落ち着いてしまうのだろう
思考に耽る雀を『重影』は興味深そうに眺めた後、汚れた鏡に視線を落とし手櫛で自分の髪を整え始めた
「ああ、そうだ 今日は『七詩さん』にはお会いできないと思いますよ」
「……何故?」
「先日…ほんの二日前でしょうか 『魔女』の襲撃に遭いまして…物理的に疲労なさったのかと」
『重影』は手鏡を見つめながら、心底嫌そうに、何処か哀れんだように笑った

『魔女』とは歪んだ愛情に狂乱した女、『境 陽種』の事である
自身が愛する歪んだ愛故に数多の人々を殺害し、その首に金品を賭けられた…言うなれば『罪人』だった
この『魔女』には二つ執着しているものがあり、
一つは血の繋がった弟、『境 残月』と…今目前にいる人物の主人格、『彼奴 七詩』である
前者の彼には何度か会った事はあるが、リリスの方が生々しく感じるほどに生気を失っていた
彼こそが本来の意味で『人形』に相応しいのではないかと、考えたぐらいだ
『魔女』の歪んだ愛情はこの『人形』のみに向けられ、『魔女』は『人形』を求めて各地を彷徨っている
一方、『魔女』が『七詩さん』に抱いている感情は『殺意』のみであった
『七詩さん』と『魔女』の関係は『七詩さん』が話題に出す事は無いので知らないが、
『魔女』が『七詩さん』を殺害せんと狙っている事ぐらいは他の人格達の話で聞いていた
雀が手鏡を片付ける『重影』を見やると同時に、糸の切れる音が再び聞こえた
ぶつん、と 慣れていなければ嫌な物ばかりを連想させる音が、聞こえた
「…全く、『魔女』も懲りぬことをしおって…だから我は『魔女』が嫌いだ」
先程まで『重影』であった『小夜』が、愚痴を雀に投げつけ始めた
「…『我ら』が『七詩』であるときばかりを狙ってくる …お陰で、最近は『七詩』自体が出てくることが少なくなってしまった」
「……でも、よく死にませんね 『七詩さん』は」
「当然だ!」
『小夜』がまるで自分の事のように、言葉に胸を張った
「あの愚鈍な『魔女』如きに、理を超越した『七詩』が屈服する事は無い …全く、最近の若者は己の力量を理解せずに…」
『小夜』が十八番の一人愚痴をかましながら、奥の部屋に移動していった
だが、部屋の手前で『小夜』は燃料の切れた機械のように、不意に止まった
同時に、聞こえる、先程とは調子の違う、耳に痛いぐらいの、糸が千切れる音
「……待ってろ、今から飲み物汲んでくる」
力の失われた声と共に、作り笑いのような無機質な微笑を浮かべた、『七詩さん』がこちらを向いた
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続くよ!((