ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.67 )
- 日時: 2011/05/30 07:01
- 名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: ThA8vNRQ)
- 参照: るりぃ改め華京!心 機 一 転 !
私は戦争によって荒廃した元都市を歩いていた。
アパートの前に花束を(私は薄給なのでそんなに豪華な花は買えていない)そなえる。
そして、ジーンズが汚れるのも構わず地面に膝をついて、目を閉じ、手を合わせて亡くなった方々の冥福を祈る。
と、その時、上から視線を感じた。
ゆっくりと上に顔を向ける、と。
そこはアパートの屋上で、逆光を受けて、その黄金の髪を風に靡かせた男がいた。
私はゆっくりと彼の方を見ながら立ち上がると、ぎこちなく微笑んだ。
「……貴方は、誰?」
私がそう問いかけると、彼はアパートの屋上から姿を消してしまった。
と、数十秒後にアパートから出てきた。
逆光無しで見た顔には、見覚えがあった。
「……俺は、大釜 陽誠。」
彼は先程の私の問いかけに対する返答を返してきた。
大釜 陽誠。
彼も、プレイヤーキャラである。
酒を飲んで攻撃力、体力UP、防御力DOWNという固有技は、かなり重宝していた。
そして、私が彼の中で一番気に入ったのが右手の龍の刺青。
綺麗で、彼そのものだと思った。
「えと、陽誠さんってよんでもいいですか?」
「……勝手にしろ」
どこかで聞いたような返事だなぁと思いながら微笑んだ。
「陽誠さんは、この乱世が終わったら、どうしたいですか?」
私が何の気無しに彼に尋ねた。
彼はふっと眼を細めてこう答えた。
「人に、忘れてもらいたい」
ああ、やっぱり。
「忘れられるって事は、悲しい事ですよ。」
ゆっくりと彼の方を向く。
と、視線を私から外された。
「あなたは、太陽に向かって昇る龍です。その生き様を、刻みつけながら生きてください。私はそれを、願います。」
私がそういった瞬間、彼は勢いよく立ち上がり、踵を返して立ち去ろうとした。
私も慌てて立ち上がる。
「頑張らなくていいです! 大丈夫ですよ! あなたを誰より思う人間がいますから!!」
叫んだ声は、彼に届いただろうか。
逆光ドラゴン
(逆光は体を黒く埋め尽くす 怯えているんだ 太陽に マブシクテマブシクテ)