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Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.71 )
日時: 2011/06/01 18:01
名前: 篠鼓 ◆6rD.0ypKNs (ID: 1j9Ea2l5)

時間なかったので短くて申し訳御座いませんが支援です!
今回は2回で済みそうにないかも…


続きは未定だけど大丈夫か?

脱字だらけだが大丈夫か?



覚悟があるならドーゾー!
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久々に『師匠』の元へと訪れようと思った。
理由は無い。 単純に暇だっただけ。

あの人が住処にしている場所は、荒れ狂った廃墟。
…いや、廃墟と呼ぶのは誤りか。 人々は確かに此処に住んでいる。
路地裏で行われる公に出来ない売買、一方的な数の暴力、繰り返される強奪に破壊。
この地には警察などと言った正義を語る便利な登場人物は存在しない。居ても意味など無い。
けど、あの人はそういった土地だからこそ過ごしやすいとかナントカカントカ言っていた気がする。
そう耽っている間にも俺の事を不思議そうに見ている人々がたくさん居るのだが。
万が一狙われたら、それで終いなんだろうな。 縋る事に、興味など失せた。

ふと、目をやった路地の先から何やら男性の青ざめた声が聞こえる
同時に他の男の声だと思われる物と、聞きなれた喧騒そのもの。
「たっ…たたた頼む! 俺が悪かった! 見逃してくれ!」
「見逃せ、何で? 男が二言漏らすんじゃねぇよ…いいや、これで終い。」
「なっ…何でもするから命だけはっ!…あっ…—————」
何かが軋む音と断末魔が耳に入ったかと思うと、音はそれきり聞こえなくなった。
しばらくすると、見慣れた人物が裏路地から飛沫塗れで姿を現した。
「…押忍、久しぶり。 来るの思っていたより早かったな。」

『師匠』…もとい、『りょう』に出会ったのは小学生の頃だった
両親との関わりは皆無で、家が近いだけが接点だったにも関わらず、毎日出払っている両親の代わりを勤めてくれていた。
誰かが二人の世話をあの人に頼んだ訳ではない。 勝手に、世話をしてくれた。
理由を聞いた時に「大人いないと色々面倒だし、腹減るだろ?」と言っていたのを覚えている。
利益を望んでいる訳では無いみたいだったし、変わった人だと思っていた。
あの人が来ている間は姉さんの暴力も止み、あの人が帰るまで姉さんが俺を殴る事は無い。
姉さんはあの人を心底嫌っていたけど、俺にとっては大切な人だったと思う。
最初の出来事からあの人は俺が高校2年の頃までずっと姉弟を構い続けた。
俺も姉さんもそれなりに成長していたが、あの人の姿は出会った頃と何も変わっていなかった。
不思議に思い始めた夏、あの人はいつの間にか姿を消していた。
それと同時に姉さんの暴力も過激になって、もう何もかもどうでもよく思えた。
退学ギリギリ、進路未定の状態で卒業して…確か—————————

「なぁ。…何で此処に来た?」
不意に、諒が口を開いた。 反射的に言葉を返す。
「……暇だったので」
「…んー…何かその言葉にデジャヴを感じるなぁ…そんだけ?」
「……ああ、はい。」
何処か飽き飽きした様子で諒が溜息をついた。
ああ、そうだ。 確か、フラフラしている時にばったり会ったんだ。 この人に。
だから今関わりがあるんだ。 …いや、思い出そうとしていた事が違う気がする。

「…で、率直で悪いんだけど陽種の様子はどう? 正気?」
諒が傍らのゴミを脚で蹴り飛ばしながら、目も合わせずにそう言った。
「……姉さんは…俺は、よく分からない…。」
「結構悪い噂しか聞かない、てか悪い噂しかないし。」
姉の噂は聞いていた、辺りを破壊するのも『魔女』と呼ばれているのも全部俺のせいだとも知っていた。
「…残月、御前はさ…陽種の事、どう映る?」
真っ直ぐな諒の目が、こちらの顔を向いた。 苛立っている、気がした。
「……俺は、」
言いかけた所で路地の奥からか怒声が響く。 諒の表情が嫌悪に変わる。
「……さっきの仲間かな、ちょっと仕留めて来る。」
素っ気無くそう言った後、諒は声のする方へ駆けていった。
「近くに俺の家、あるから先に行ってて。」