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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 【これが私達の】KATANA-刀-【生き様だ】 ( No.81 )
- 日時: 2011/06/11 06:36
- 名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: ThA8vNRQ)
「誰かがやらねば世界が変わらないのであれば」
そう、真っ赤に染まった彼女は月に武器である軍用のサバイバルナイフを掲げて口を開いた。
茶色の髪に張り付いた紅が何故か凄く綺麗に見えて私は眉を寄せる。
「是非、魔女を討ちましょうよ」
クツクツ喉で彼は笑う。
私のように眉を寄せて、でも笑顔で。
「どうして、」
私の口の中でいくつか言葉の続きを転がした。
いい言葉が見当たらないのだ。
ただ、彼女に問いたい。
「……どうして、貴女は人を殺めるの?」
単刀直入ではあるが、それが一番良いと思ったのだ。
彼女は驚いたように数回目をしばたたかせてから口端を吊り上げた。
「ならば、逆に聞くわね」
彼女は躯ごと私に向き直る。
淡い月光で彼女の輪郭が白く浮き上がった。
「貴女は貴女の正義の名の元に全国を回っています」
風が強く吹き付けて彼女の髪を流す。
血がついたサバイバルナイフに、茶色の髪……うっすらと浮かんだ微笑に彷彿とするのは悪魔。
命を狩る、否、命を奪うことを許されたかのような、絶対的な存在。
「———……どうして、命を狩ってはいけないのかしら?」
ほら、やっぱり命を狩る事になんの疑問も持っていない。
でも、そんな悪魔に言えるような……小綺麗な言葉は見当たらない。
「………………」
私は、答えられない。
「……ごらんなさい」
彼女はまたクツクツ喉で笑うと目を細めた。
「今宵の月は格別、美しいわ」
月光のワルツ
(答えなんて無いのだろうか)
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