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Re: 俺の日常はどっち? ( No.27 )
日時: 2011/04/27 09:44
名前: ゆn ◆sJpB9ckHBE (ID: XLtAKk9M)

【 少しずつ少しずつ 】
「だ……誰だよ! なんで俺の名前……知ってるんだよ……!」
自分の名前を知られている。そう改めて認識すると直ぐに体が恐怖で硬直した。
この場から逃げ出したくても逃げ出す事が出来ないという恐怖が、
体の中を駆け巡る。
鼓動も激しくなり、呼吸するのが精一杯だ。
「燐……俺だよ。凪風だよ」
優しい口調で俺に言う。
俺は“凪風”という言葉を聴いた瞬間に驚いた。
「なっ、なんでお兄ちゃんが居るんだよ! 家に帰ったんじゃないのか!?  それにこの学校の生徒じゃないだろ!?」
俺は思ったこと、疑問。全部をぶつけた。
お兄ちゃんは驚いた顔をした後に、苦笑いしていた。
「まぁさ、後で教えるから……保健室。行こうか」
そう言ってお兄ちゃんは俺の腕を肩で担ぎ、ゆっくり歩き出した。
俺は覚束ない足取りで、お兄ちゃんと同じ歩幅、同じ速度で歩いた。
正確に言えば、歩かせてもらった。
俺のいるクラスから、階下に行くための階段は比較的近くに作られている。
だから、直ぐに階段付近までたどり着いた。
「おりるからな?」
そう言ってお兄ちゃんは俺の体を担いだ……てか、抱っこする。
「なっ! おい、お兄ちゃん!! なんだよ、コレッ!」
放せよ! と、言わんばかりに俺は暴れる。
手足を振り回したりしていると、お兄ちゃんが黒い笑みを浮かべて落とすぞ。と言ったので直ぐにやめた。