ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Black Fox:48 ( No.25 )
日時: 2011/04/25 21:26
名前: X4 ◆DnM7GZ7i7Q (ID: BL8fZ.Pl)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=LPj5iEoEIeY&feature=related

参照の曲を聴きながら小説を読むと臨場感が増すかもしれません。


 船底機械室にて。

「……制圧。」
重い声とは裏腹に、異様な静寂が周りを囲む。
誰も居ない。自分達以外に人間が居ない。こんな恐怖心、感じた事が無い。
戦争というのは団体で戦うものだ。 決して一人vs一人では無い。
増してや戦場には死体が溢れている。
死体によって自分以外に人が居ないのと、本当に何の存在も無いのを比べるのなら、どちらが嫌であろうか?
それは人それぞれだが、私は後者を選択する。
寂寥というのは恐ろしいものだ。

「機械室到着。 以前人は見当たりません。」
通信機に話しかけるリシングスキーを他所に、機械室に設けられた機械の数々を眺めるアルバートとヴェッフェン。
よく分からないボタンを押したら爆破しそうな威圧感を誇る機械に軽々と触れる2人はどこか狂気に満ちている。

「此方ベルデット、この貨物船には食堂がある。 そこで食事を楽しんでいた兵士を全員倒した。 ブリッジにはすぐ到着する。 3F中央フロアにて待っている。 さっさと来いよ…?」
「待て、何故待機命令を出したのに私たちよりも先に動いている。 これは違反だと思うが?」
「通信機でお前よりも早く、米軍本部からの通信が行われた。 リシングスキーには悪いが、先に行動したほうが効率的、との事だ。」
「前例の無い行いだな。 あとで本部を白燐手榴弾でパーティーにしてやる、だから早く政治家を奪還して、ハーゲンの頭を撃ち抜くぞ、良いな? 俺たちが全滅するまでこの任務は続く。」

「いつもより熱心だな。 了解した。」


3F 中央フロア


「……リシングスキー達め、いつまで俺達を待たせるつもりだ?反吐が出るぜ。」
「落ち着いてくださいよベルデット兄さん。 スリディアは探索に行きましたし、ライギーはロシア兵士との接触で肩に怪我を負いました。 深くは無いですが…大量出血で死ぬ可能性も否めません。止血剤を持っているのはシリングスキーさんのみ…早く…早く…」
クリアは怖気ついた表情を露わにし、目には涙を浮かべている。

「お前が落ち着けクリア。 悲しんだ所で何も変わりゃせん。 戦場に情は入らない。 いちいち同情する暇があるなら、殲滅でもしてろ。」
「……ごめんなさい……」