ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 殺人鬼少女の罪〜失われた記憶と祟り〜 ( No.114 )
- 日時: 2011/08/02 10:56
- 名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)
「秋穂〜!」
村の入り口付近の草むらで、ひたすら秋穂を探す、雅と疾風。
「ちびー」
疾風は、秋穂をチビだと思ってるが、4センチぐらいしか、差が無いんじゃ……チビとはいえない。
「秋——うわぁぁあ!?」
「!?」
いきなり地面が沈んで、雅と疾風は、落とし穴に落ちた。
「うわー……自分で作ったのに、自分で落ちた。スゲーな、俺」
「ほんっと、すごいねぇ、疾風〜……」
「このバカヤローー!」って、言ってみたかったけど、そんな暴言を吐く勇気が無い。後でひどいことされそうだし。ええい、僕の意気地なし! 弱虫!
「雅、この落とし穴俺が作ったなかで一番深いやつだ。深さが2メートルある」
「あ、本当だ。出られそうも無い」
………出られそうも無い。まったく。
「クソ雅!お前のせいで出られない!お前が落とし穴に落ちるから、俺も巻き込まれたんだ!!」
「何言ってんのさ! 君が作った落とし穴なのに! 自業自得だ!」
ふと、足元を見ると、ムカデの大群が……
「ヒィ!? 何でムカデ!? 疾風、落とし穴にどんな細工を!??」
疾風が、30秒ほどフリーズ。
「ああ、この穴に落ちた人を地獄のふちに落とすためにムカデを入れておいて、その叫び声を録音するために、ボイスレコーダーを…」
「最低だよ、疾風!」
「まさか、自分の声を録音する事になるとは——驚愕だ!」
拝啓、お母さん。とても悲しいお知らせがあります。初めて魔界で出来た友達に、生きている中で始めて殺意が沸きました。このままでは、殺してしまいそうです。どうすればいいですか?
ふと、落とし穴の外から、声が聞こえた。
「雅?」
秋穂の声だ!
「秋穂ー! 僕、落とし穴の中! 助けて!」
落とし穴の入り口に見えたのは、秋穂が僕らを助けるために出したロープ……ではないと思われる。だって、ロープの先に、丁度頭を通せるくらいの輪が出来ているから。
「この紐で、首でも吊って死ね!」
やはりこの女、僕らを助ける気は、全く無いようだ。
「助けて欲しいんでしょ? お前の後悔だけの人生を終わらせてあげるよ」
「な……僕の生き様、なめるなー!」
本当に、ひどい。
「そこの団子頭! 雅の人生は、後悔だけじゃないぞ!」
今の秋穂の髪型は、『お団子ヘア』と、呼ばれるものなのだ。
「疾風、僕をかばってくれるの? ありが——」
「雅の人生は、後悔と、絶望と、悲しみの涙の海で出来ているんだ!!」
ああ……そうだよ。後、失望もね。きみ達の様な人間のお陰で、僕の人生は、後悔と絶望と悲しみと失望の涙の海で出来ているんだよ。
「もう、どうでもいいから助けて……」
「仕方ない助けてやろう。早くロープにつかまってー」
やっと上に上がる事ができた。落とし穴の外は、新鮮な空気が流れていた。
突然、耳を劈くような爆音が響いた。
「村の方から聞こえたよね……?」
「何? 村で理科の実験でもしてるの?」
「そうかもな」
理科の実験で、こんな音がしたら流石にヤバイだろう! どうして、この2人は、こんなにボケてるんだ!
「とにかく、村に行こう!」
3人は、村へと急いだ。