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Re: 殺人鬼少女の罪〜失われた記憶と祟り〜 ( No.125 )
日時: 2011/08/19 17:32
名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)

第8章 遠い旅へ



 私はまだ、人間と死神と悪魔を見分ける事ができない。死神と悪魔の気配は、わかっているつもりだったけど。見分けられないなら、この人間を切ってみよう!

「人一人殺したって罪にはならない! はず!」

 勢いよく、鉈を振り下ろす。大きな斧でガードされた。

「バカやろう! 殺す気か!」

「そのつもりだったけど、何か?」

「『何か?』じゃないよ!」

 蹴り飛ばされた。こいつ、本当に人間なのか? 私には、確かめることは出来ない。

「そこの2人! 争いはやめてください!」

 ツグミが屋根の上から呼びかける。そして、屋根から飛び降りた。いや、そんな所から飛び降りたら、足がジーンってなるんじゃ……。

 スタッと、普通に降りてきた。なんなんだ、この子。

「ルキアさん、人間は殺さないでください」

 この団子頭は、人間のようだ。悪魔歴380年のツグミが言うのだから、間違えない。それにしても……なぜ、悪魔が人間をかばうのか?

「ツグミ、さっきの質問だけど、どうして悪魔が人間をかばうの?」

 ツグミが静かに微笑む。(あ、可愛い……)

「ツグミには、人間の友達がいたことが有ったんです」

 人間と、悪魔の友情?

「友達との約束なんです。美樹も、笑李も、今はどうしているかわかりません。でも、どんなに離れていても友達だって、言ってくれたんです」

 ツグミは、少しだけ悲しそうに微笑んだ。

「私は、大切な友達との約束——『人間は殺さない』という約束を守り続けます。だから、ルキアさんも、人間を殺すのはヤメテ欲しいんです」

 そんなこといわれても、難しそうだ。まあ、心がけてみようか………。

「わ、かった」

 ツグミは、今度はとても嬉しそうに微笑んだ。(やっぱり可愛い……)

「あ、そうだ。アカギとリーフは?」

 ツグミが30秒ほどフリーズ。

「え、エエと。その、わかりません。さっき、死神2人を倒しているのを見たんですが」

「じゃあ、死神は全部倒したわね」

 さっきまで、ずっと何も言わずに斧を持っていた、団子頭の人間が話しかけてきた。

「えっと、2人とも、悪魔なんだね?」

「そう。それにしても、よく、死神を倒せたわね。どうして?」

 団子頭の人間が、10秒ほどフリーズした。フリーズするやつ、多いな。

「もしかして、祓い屋だったりしますか?」

 ツグミの問いに、またフリーズした。

「……はらいや?さっき魔界に着たばかりだから知らない」

 『魔界に着た』。少し前まで違う世界に居たみたいな言い方だ。

「え、あなたもいつの間にか魔界に落ちた——の?」

「うん」