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Re: 殺人鬼少女の罪〜失われた記憶と祟り〜 ( No.146 )
日時: 2011/08/11 22:47
名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?689691

 チラッと、ツグミを見たら、悲しそうな表情で、ふざけあうアカギと疾風を眺めていた。泣くよりも、悲しそうに。

 ———この子の過去に何が……?

 気になったけど、聞いてみる勇気がなかった。聞いてみたら、ここの空気が重たくなりそうだったし。


 さて、気を取り直して。

「えっと……秋穂? だっけ? そこにいる、人間笑い袋と一緒に魔界に来たの?」

「に、人間笑い袋? ああ、雅の事。(ただ微笑んでただけなのに、笑い袋扱いされてる…可哀そうに)そう、なぜか学校の登校途中に」

 悲しそうにうつむいていたツグミが、「やっぱり、わかりませんねー」と、つぶやいた。何がわからないのか?あ、これからの自分の生き方?

「あ、そうだ。ルキアさん、地上に来た本当の理由は覚えてますよね?」

「わかってるけど、あんたこそ、ここがどこだか分かってる?」

「いいえ。だから、誰か、ここがどこなのか、教えてください!」

 しーん………

 あれ? みんな、ここがどこなのかわからない?

 沈黙が続くなか、空気を読まないアカギが喋りだした。

「疾風、お前の地元だろ!」

「いや、11年前に引っ越してきたし」

「じゃあ、この村で11年も生きてるんだろ?」

「でも、ここが花咲き村であることしか知らねー」

 再び沈黙。誰か、何とかしてください。

「えっと………疾風、魔界の地図とか、ある?」

 雅が、何とかしてくれた。疾風に渡された地図を眺めて3秒。

「ここは、青森道、花咲き村。って、書いてある(県じゃないんだ?)」

 3秒で、地図から、自分の居場所を見つけるなんて。何者?

「へェ、ここ、青森なんだー」

 11年も生きていて知らないなんて、異常だ。

「疾風だったかしら?あんた、頭の病院に行きなさいよ」

「あ、わかったけど……キミら、誰?」

 いや、わかるなよ。ああ、自己紹介とかしてないね。

「私が、ツグミで、こっちのバ……ルキアさんです」

 ツグミが紹介してくれたが、違和感が残る。

「ツグミ、『バ』の続き、なんて言うつもりだったの?

 ツグミは、満面の笑みで、

「青森道は、北海風のすぐ近くですよ」

 シカトした。