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Re: 殺人鬼少女の罪〜失われた記憶と祟り〜 ( No.157 )
日時: 2011/08/20 15:48
名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)

「じゃあ、今すぐに行くか?」

 このやろう、みんながみんなシカトしやがって。

「でも、遠いから、船で行かないとだめですね。あ、アカギ、闇ルートで舟のチケットを取ってきてくださいよ」

「闇ルート?」

 ツグミとアカギ以外が疑問に思った。そして、ツグミとアカギ以外は、思った。

(こいつ、危険なやつだ)

「うっし、闇ルートで取ってくるぜ! 7枚でいいな?」

「あ、ロイズにも来て欲しいので8枚」

「な、何でロイズ? すすす、好きなの??」

 何でこんな質問してしまったんだろう? ちょっと後悔した。

「はぃ? いいえぇ。全然興味ないです。死神に襲われたときに、私が能力を使わないで済むようにですよ」

「あ、ああ、楽したいだけ、ね」

 なぜ動揺しているんだろう自分。落ち着け、深呼吸っ。

「ちょっと待てよー。勝手に話を進めるなよ。北海風には、いつ行くんだよ」

「疾風、でしたよね? 明後日でいいじゃないですか?」

 随分勝手に決めてるな。他の、秋穂やリーフや雅は、それでいいのか?と、思ったが、秋穂もリーフも寝てた。話の途中に。雅は、何の問題も無いようだ。

「じゃあ、わかった。明後日で」


 アカギは、闇ルートでチケットを取りに、つぐみは、ロイズを呼びに地獄へ行った。残された私達は、ボーっと、座っていた。

(私もツグミと一緒に行けばよかった……)

 何でこんな風に思うんだか、自分でもわからなかった。またひとつ、悩み事が増えた。ちくしょう。

「ねーねーねー! ルキアー」

 秋穂が話しかけてきた。

「さっき、ツグミがロイズって人も呼ぶって言ったとき、何であんな事を聞いたなー? 好きなのー?」

「す、すすすすす………好きって、な、ななにがっ??」

 動揺しすぎの自分が訳わからない。なんなんだ、私。

「まあいいや。ルキアは、何で北海道に行かなくちゃいけないの?」

「北海風でしょ」

 私が祟られている事を言うべきかどうか迷った。言った方がいいに決まってる。でも、どう説明していいのかわからない。

「言いたくないならいいよー」

 そういって秋穂は、部屋の外へ出て行った。そういえば疾風と雅がいない。だから、部屋にいるのは私とリーフだけだ。

「ルキア、話さなくていいの?」

「そんなの、私のかってでしょ?」

 いつものリーフのしゃべり方とは違う。おそらく、もう一人のリーフだろう。

「でも、話すべきだよ。だって———」

 突然息が苦しくなった。私はその場に倒れた。

「ルキア?」

 また、頭の中に覚えの無い記憶が入ってくる。


 どこかの学校の制服を着た少女が、血のついた斧をもってこっちを見ていた。

「美月の、人殺し」

 そっとつぶやく。その先は、よく聞き取れないが、彼女が昔の私を殺そうとして、やめてしまった映像が見えた。それなのに、昔の私は彼女を殺した。

 これが、昔の私なのか? なんて残酷なんだろう。

 その後、その場で泣き出す昔の私。そこで、映像が途切れた。


「ルキア。もう、残された時間は少ないよ。あなたの命のカウンターは、6」

 そんなことは、私だってわかっている。

「でも、私としては、そのまま『祟り』で死んで欲しいな」

「……どうゆう意味?」

「クフフフ。『祟り』で命を落とす悪魔の最期なんて、またこと無いもの。おもしろそうだし」

 悪趣味なやつだ。消えろ。

「これは私の本音だけど、もう一人は、そんなこと願ってないから、安心して」

 そういってリーフも部屋から出て行った。

                                      ☆


「疾風ー。雅ー。何してんの?」

「ああ、秋穂か。灰になった村人、このままだとどうかと思うから、一箇所にまとめて、埋めて、十字架でも刺しておこうかと」

「それで、僕も手伝ってるんだ」

 お墓作りか。

「いいねー。生き物は、死んでも形を変えて生まれ変わるらしいしね。十字架を作るよ!」

「ありがとう。じゃあ、たのんだよ」

                                      ☆


北海風旅行、当日。

「結局闇ルートってなんなんだか」

 しっかり舟のチケット8枚を手に入れたアカギ。

「俺があそこで判断ミスしてたら、酷い目にあってたぜ。本当に何も取られなくて良かった……」

 闇ルートは、やっぱり危険らしい。


第8章 遠い旅へ  完