ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 殺人鬼少女の罪〜失われた記憶と祟り〜 ( No.165 )
日時: 2011/10/02 16:46
名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)

第9話  魔王の可能性

 花咲き村から走って、船乗り場まで来た。普通、車だろ!

「何で、せめて自転車じゃないのよ!」

「別に、花咲き村から5キロの距離くらい走れるだろ? ほら、殆ど皆疲れてない」

 私は、「船乗り場まで自転車で行こう」と、言ったのに、「自転車持ってない」だの「走りたい」だの「自転車に乗ってるとあの日の罪悪感を思い出す」と、いう理由で走りになった。

「5キロくらい走れるけど、みんなのペースがバラバラじゃない!」

 私とアカギと雅は先に舟乗り場にたどり着いたが、他が、着いてきてない。

「そういえば、一番駄目そうなあなたがどうして着いてこれたのよ? 雅!」

 一番おとなしいし、技術部に入ってそうなのに。

「僕、1年生の最初のころは、陸上部やってたけど、先生に「お前は、陸上部に向いて無いって言われて」テニス部に入ったんだ。テニス部の方がハードで、先輩にパシらされ、先生に走らされ、女子・テニス部の先輩にパシらされ、色々……」

 後半から、話し方と表情が憂鬱になってきてた、雅。

「1年生の冬に女子に告白されて、「僕、まだ恋とかしたこと無いから…」って、言って断って、それを知ったモテない先輩が「リア充死ねエエ!」っていいながら僕にテニスボール投げつけてきて、大変だったな」

「大変だったな、お前」

「でも、僕はテニス部に入ったから、大会でも勝たなきゃと思って、頑張って練習したよ。それで、県大会にも出れたし、ベストエイトに入ったし、テニス部は楽しかったよ」

 なにこいつ。先輩にはパシらされ、ボールぶつけられ、先生には走らされまくって。なんてけなげなんだ。

「僕が強くなれたのは、先生や、先輩のお陰なんだ」

「雅。これからも、パシり頑張ってね」

「……え……」

 そんなことをしているうちに、他のやつらも走ってきた。

「じゃあ、早く、舟に乗るぞ!」

「おー!」


 船に乗って10分間は、誰一人何の以上も無かったが、それは突然やってきた。

「……なんか、気持ち悪くなってきた」

 そう、船酔いだ。秋穂が、乗り物酔いが激しいらしい。

「部屋で休んできな。船旅は、明日の朝の3時くらいまで続くんだから、頑張ってね」

 今が午後1時だから、船旅終了まで、14時間くらいある。ここでよってしまうと、後が辛い。

「あらら、ここで酔ったら何も楽しめませんねー。たまに、海の上をペガサスが飛んでたり、イクチオサウルスが泳いでて、楽しいんですよー」
 ペガサスにイイイ、イクチオサウルス!? なんてドリームワールド! 流石、魔界。

「そんなもん見てたら、確実に吐く……。朝食べた、ハンバーグの上にエビフライが載ったものが出る」

 朝から、そんなもの食べるからだ。自業自得だ。

「やべぇ、俺も酔った。朝食べた、北京ダックが出る……」

「お前ら、朝から、なに食べてんのよ!」

 疾風も、船酔いに。馬鹿は、風邪引かないって言うのに。さらに……

「僕も酔った……酔い止め3錠飲んだのに! 朝食べた、キムチ鍋が……」

「今、真夏ですけど!? 朝からなに食べてるの!」

 でも、そんな所も悪くない……あ、いや、ちがう! 好きとかじゃないんだ!

「僕が、どんなに辛いものが好きでも、僕は、僕だ。辛いものをやめる気はないよ……」

「別に、やめろとは言ってないし、子供は、酔い止めの服用はしちゃだめなのよ?」

「うう……しにそうだ」

 とりあえず、ロイズと秋穂と疾風は、部屋に戻って行った。