ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 殺人鬼少女の罪〜失われた記憶と祟り〜 オリキャラ募集中! ( No.202 )
日時: 2011/10/02 16:45
名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

 秋穂の握った紙は、握っただけではありえないほどしわしわになり灰となったのだ。

「秋穂の能力は、『炎』と『雷』だね」

「ほのー…かみなりぃ? なにが? あ、ポ○モンの話?」

 ああ、説明が面倒くさい。大体、どう説明していいのか分からない。チラッとロイズと疾風を見る。他人のように知らん顔して、外を見ていた。と、言うわけで私も他人のように知らん顔して、売店へいく。

「ねぇ! 説明してよ!」

 無視。説明が面倒くさいので無視。

「僕、気分良くなっていたから外に行ってみる……」

「俺、船酔いが直らないから寝る……」

 逃げるように外へ行くロイズ、3秒で夢の中の疾風、ロイズ同様逃げる私、残された秋穂。

「もう! 不貞寝してやるっっ!」

 諦めて、秋穂もその場で眠りについた。出来ればそのまま能力の事は、忘れていただきたい。もしくは、ツグミか誰かが代わりに説明してあげて欲しい。


 売店へ行こうと廊下を歩いてて気が着いた。MONEYを持ってない。手ぶらで地獄へ来て、いきなり祟りがどうたらと言われ、こうして北海風に行くことになったんだ。持ってるほうがおかしい。

 Uターンして、船の外へ向かう。雅に克あげして、裂きイカとチーカマを買いに行こう。

 船の外に行く途中で変な女を見た。1枚の札も見つめながら、『いでよ、式神ーっ』とか『白竜、出てこいや!』とか『お願いだから出てきてください…』と、つぶやく怪しい女を。

 これは、110番に通報するべきだろうか。いや、ポリスを呼ぶほど怪しくは無いかもしれない。

「この世の森羅万象よ、我に力を! 悪逆非道の闇の住人どもを滅せよ! いでよ、汚れ無き白の竜!!」

 随分かっこよく言っていたが、何も起こらなかった。

「……………………」

 これ以上気まずい空気を吸っているのは耐えられないので、私はその場を離れた。


 船の外は、気持ちのいい海風が吹き荒れていた。激しい強風が。異様に風が強い。周りには特に誰も居ない。

「あ、ルキアー!」

「リーフ? さっきのあの空気から抜け出せたの?」

 私の能力とアカギの一言で、尋常じゃ無く悪い空気になってしまい、抜け出すのも話すのも難しくまったあの空気。

「さあ? 私は良く知らない。私はリーフであってリーフじゃないから」

「ああ、またお前か。早く消えちゃっ————」

「……ルキア?」

 また——祟りのカウントが、進む————


 ナイフを持って『私』を追いかける、男子生徒。ひたすら逃げる『私』。無我夢中で、振り返らずに。

 小さな人通りの少ない空き地へ逃げ込む『私』。その私にナイフを振り下ろす、男子生徒。寸前に男子生徒の顔面にけりを入れる『私』。

 男子生徒の落としたナイフをその男子の眼球に抉りこむ、残酷な少女。

 これが自分だと思いたくない……。私は、こんな残酷じゃない! これは他人なんだ。私は『ルキア』であの残酷な少女は『美月』。全くの別人、異なる存在なんだ!

 『美月』が、その男子のもう片方の目玉をつぶす。男子生徒が何か叫ぶ。


『例え君が僕を嫌いでも、僕は君が好きだ。だから、サ』


第9章 魔王の可能性 完