ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 殺人鬼少女の罪〜これはただの遊び〜 ( No.35 )
- 日時: 2011/08/02 11:04
- 名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)
私は、驚いて振り向いた。確か同じクラスの男子……えーと…とりあえず同級生だ。
「誰だっけ?」
完全に忘れたので聞いてみた。
「…酷いな。誰だっけもなにも、同じクラスの隣の席だぞ?」
「そうなんだ。人の名前は興味が無いから覚えないの」
今でも、1年生のときのクラスメイトの名前、全員は覚えてないし。女子の名前は、全て覚えたけど。
「まって、頑張って思い出すから…。えーと…プランクトン…アメーバ…ミジンコ……」
「いや、俺、人だから。微生物じゃないから」
「…だ、ダニエル…ジョン…ハリー・ポッ———」
「俺、日本人だから!」
どんなに頑張っても思い出せません。スイマセン。本当に人名前と顔は、ちゃんと覚えよう。今で後悔するなんて……。
「俺は、緑川——」
「いつから私の後ろに居たの?」
緑川何とかって人の自己紹介を遮って、無理やり質問。私が一人目を殺したときって言われたらこいつを殺そう。
「ああ……お前が家を出て、殺人しまくってるときから」
「さよなら、緑川君!さあさあ、元気に天国へ行ってみよう!!」
勢いよく包丁を振り下ろした。…ギリギリ避けられた。
「おしい」
「ふ、ふざけるな…何人殺すきなんだ!お前、狂ってる!」
『狂ってる』か……。いつからこんな風になっちゃったんだろね? 昨日からか?その前からか?どうでもいい。私は狂った道を進み続ける。だって、こんなに楽しい遊び、ほかに無いもの。
「私、殺人中毒なのかしら? ねえ、あなたは今楽しい?」
「そんなわけ無いだろ。殺された友達の仇をうてる自信は無いし」
ああ、ちょっと前に殺した同級生の仇を討とうとしてたのか。哀れなやつ。仇を討ったところでどうにもならないのにね。
「今が楽しくて仕方が無いのは、私だけなのね」
そうだ。こいつに罪を擦り付ける方法があるわ。指紋が着かないように手袋をしてるから、私が犯人だとはわからないだろう。私は手袋を沼に捨てた。
「何してるんだ? 自首する気にもなったか?」
「そんなわけ無いでしょ。私はこの遊びをやめない」
包丁を緑川に渡した。で、すぐにまた包丁を奪い取った。
「?????」
何も解ってない緑川。包丁にこいつの指紋がついた。後は、演技だけだ。
自分の腕や手を包丁で軽く切った。地味に痛い。ああ、結構な出血。そしてわざと大声で叫んだ。
「助けて!! 人殺しがいる!!!」
着ていた黒いコートや黒いボウシをその場に捨てた。
「これでお前が犯人」
「そんな上手くいくもんか」
「普通に考えれば上手く行かないだろうね。でも、誰も私の姿をしっかり見た人は居ない。全員殺したから。あなたの言うとおり、私は人間の皮をかぶった鬼ね」
静かに微笑む私を緑川は、睨み付けていた。
「なんてやつだ! 本当に殺してやる……!」
私から包丁を奪い取って襲い掛かってきた。
「私を殺せると思わないでね」
私は包丁の刃先を素手で握った。真っ赤な血が滴る。
「私が本当の殺人鬼なのに、皆からは、あなたが殺人鬼だと思われるの。哀れね」
第1章 完