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Re: 殺人鬼少女の罪〜これはただの遊び〜 ( No.53 )
日時: 2011/08/02 11:11
名前: クリスタル (ID: d9npfmd5)

「あなたがお姉ちゃんを殺したのね………」

 私は、この問いに『違う』と答えてくれることを祈っていた。

 だけど、美香は……

「そうだよ。そのとおりだよ」

 美香が・・・私の姉を殺したのか。

「私が人殺しって? どーゆーこと?美香」

「美月が……私の家族を殺したんでしょ!?」

「…何人も殺したからわからないけど、何で気付いたの?」

「見たよ…たくさんの人を殺して、バラバラにしてる美月を……」

 そうか。私が殺人鬼だって知ってて、しかもお姉ちゃんを殺したのか。じゃあ、親友でも仕方ない。


  殺そうか。


「美香。私もあなたを許さないわ。殺す」

「美月は、この人が大切でしょ? 美月、この人のとこへ逝かせてあげるよ……!」

 美香が血の突いた斧を振り上げる。私は武器を持ってないから逃げるしかない。私は、その場から逃げた。

「美月なんて、死んじゃえ!」

 美香の方が私より早くて、転ばされた。

「美月は、人殺しだ! 友達や村の人を殺した! 私の家族を殺した! 美月なんて……美月…なんて…」

 今、殺せばいいのに美香は、私の前で斧を上げたまま停まっている。

「美月は、人殺し……」

 美香は、斧を下ろした。そして、静かに泣いていた。

「家族を殺されたのに……怨んでるのにっ…殺せないよぉ……美月ぃ」

「どうして殺せないの?」

 美香は、泣きながら言った。

「例え…残酷な殺人鬼でも、私の大切な親友だから…」

 そうか。私のこと、親友だと思ってくれてるのか。

「私も……お姉ちゃんを殺したあなたのことを、殺したいとは思わなかった。それどころか、殺したくないと思った」

「美月……」

 殺したくは無いけど……殺したくは無いけど……

「美香、斧は置いて」

「うん。美月のことは殺せないもんね」

 美香が斧を置いた瞬間に、斧を奪い取った。

「え?」

 私は、ただ微笑むだけだった。

「……美月?」

 殺したくないけど、殺したくないけど、殺したくないけど——殺さずには、いられない。

 コロシタイ。コロシタイころしたいころしたいころしたいコロシタイころしたいコロシタイ殺したいコロシタイ殺したいコロシタイころしたいコロシタイコロシタイころしたいコロシタイ!!!

「さよなら。美香」

「イヤだ、ちょっとまって! 殺さないで!!」

 私は、斧を振り上げた。

「イヤだ・・・止めて・・・!」

「あっちに行ってお姉ちゃんに謝ってこい。」

「いやあああああああああああああああああああああ!!!」






 赤い花を散らした見たいな光景。私の一番大好きな光景だ。

 あれ? どうして?どうして涙が出るの? 何がそんなに悲しいの……? どうして———こんなに赤いのが広がってるんだっけ?

 何で大切な人が死んでるの?

「ああ…あ………何で……何でこんなに死んでしまったの?」

 全て——自分のせいだ。私のせいでお姉ちゃんが死んで、美香は、私が殺した。

 「ふふふ…はは……あはは! ねえ、美香。何で涙が出るの? 何で2人とも、動かないの!? お姉ちゃん! 美香! 何か言ってよ!!」

 私は雨の降る中、泣き叫んだ。どんなに呼んでも、どんなに叫んでも二人は帰ってこない。
 



 自分が殺したのだ。




「もう、どうでもいい。皆、皆殺したい! 殺してやる!! この村の人を皆殺しにして、村を滅ぼしてやる!!」

 皆、皆同じ色に……真っ赤に染め上げてやる。

                                  ☆


私がふと、気が付いたとき……世界が赤色に染め上がってた。

「どうして全てが真っ赤なの?」

 誰も答えてはくれない。なぜか誰も居ないのだから。どうして誰も居ないのか?どうして大地も、空も、自らも赤く染まっているのか?私には、確かめるすべも無い。

 私は、赤い世界をさまよった。でも、どこへ行っても全てが赤なのだ。どこへ行っても大地と空と自分しかないのだ。風の音も、誰かの声も聞こえない。

 だんだん怖くなってきた。たった一人で、自分の足音と自分の呼吸しか聞こえない。

「誰か居ないのー!!?」

 返事は無い。

「この赤い世界の出口はどこなのよ!」

 響く私の声。返ってくる反響音。エコーってやつ。

 ん? 待てよ? 反響音が発生するのは、壁などにあたって音が撥ね返るから……壁はどこだ? 壁なんてどこにも無いのに。不思議なとこだ。って、そんなことはどうでもいいんだ。

 突然、さっきまで存在しなかった風が吹いた。うわっ目にゴミが入った!

第2章 完